第26話

「碧ちゃんがなかなか来ないから来てみたの」




言われて少し嬉しくなったが、そう言えば私から弁当を作ってくると言ったんじゃないか。


自分からした約束を破るなんて最低だ。そりゃ不機嫌にもなるよ。




「ごめん。本当にごめんなさい」


「ふふ、いいのよ」




頭を下げて謝ればおーちゃんは笑って許してくれた。良かった。


ほっと胸を撫で下ろし、私達はいつもの裏庭のベンチへ向かった。




「本当に友達と仲が良いのね」




ベンチに座って今日も私の作った弁当を一緒に食べていればおーちゃんが言った。




「そんな事ないよ。嫌味とか腹が立つことしか言ってこないし、仕舞には容赦なくでこぴんかましてくるんだよ?」


「いいじゃない。楽しそうで」


「え、おーちゃん私の話聞いてた?」




私の言葉に、ん?、と首を傾げるおーちゃんは本当に可愛いくて、話なんてどうでもよくなった。


おーちゃんはかっこいいけど可愛い。有名なのも分かる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る