第17話

「そうね…今まで好きになったのは男の人ばかりだったかも」




その言葉に、あぁ、と思う。


分かりきっていた答えにショックを受けている私はどこか希望を持っていたのかもしれない。


やっぱり訊くべきではなかったな。




「なんかね、友達の先輩にイケメンな先輩がいるんだって」




良平の言葉を思い出して言ってみれば、分かり易く反応したおーちゃんに苦笑が漏れる。




「え、誰?アタシが知っている人?」




表情を明るくしているおーちゃんが私に訊いた。




「さあ。どうだろう」


「碧ちゃんはその先輩が気になるの?」


「イケメンって言われたらそりゃ気になるよ」


「そっか。そうよね」




やっぱり女の子なのね、なんて言っているおーちゃんに、失礼だぞ、と心中思う。


私の周りには私に容赦がない人ばかりだな。




「でも、おーちゃんは男の人が好きなのかー」




再度呟けばおーちゃんは笑って、そうね、と頷く。


やっぱり私は報われないのか。きっとどれだけ頑張っても振り向いてくれる可能性は0に等しいんだろうな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る