第6話

それを男はばっちりと聞き取っていたらしく、図星だったのか、私の腕を更に強く引いた。


それが痛くて顔を歪めれば、




「大人しく着いて来ればいいんだよ」




なんて偉そうに言った。それが妙に腹が立ってふつふつと怒りが込み上がる。




「女を丁寧に扱えないとか終わってんな」




吐き出すように言えば男はまたもや図星だったのか次は私に手を上げようとした。


それに目を閉じて振り下ろされる手の衝撃に備えていると




「いい加減にしろよ」




低い男の人の声が聞こえた。



目を開ければそれはそれは今まで見てきた中で一番イケメンだと言っても過言ではない男が振り上げた腕を掴んで止めていたのだ。




「これ以上この子に手を出したらどうなるかくらい、分かるよね?」




端正な顔の彼が言うとやけに迫力があり、男は舌打ちをして逃げて行った。



その姿は実に滑稽で、助けてくれた彼はとてもかっこよかった。




***




その時、私を助けてくれたのがおーちゃんだった。


そして私がおーちゃんを好きになった瞬間でもある。

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