第9話 ガキ
重々しい扉を開けるとそこはもので溢れた雑多な部屋だった。
冒険者ギルドは多少暗いながらも魔法の光を灯したシャンデリアである程度
見渡せたのに対して質屋はかなり暗い。
暗いし物が溢れているせいでカウンターのような場所に進むまでに何か柔らかいものをグニュッと踏んだり腰を硬いものにぶつけたりした。
痛い・・
カウンターまで進むと突然横から声をかけられた。
「お前客か?」
「はっはい!」
驚きのあまり背筋がピンと伸びる。
暗がりや物が多いせいで人がいることに気が付かなかった。
ビクビクとしながら声が聞こえた方に顔を向ける。
そこには全身をフード付きのマント?のようなもので多い隠し、顔も包帯でぐるぐる巻きの小さな姿があった。
アンデット?
生き物が未練を残して死んだ際に生まれるとされる怪物。
そんな境遇から生まれたものがまともな感性をしているわけもなく、生まれると同時に生者への恨みを募らせ襲いかかってくる。モンスターの一種とも言われている。
なぜアンデッドが質屋に?
親に売られたとかなんだろうか。
アンデッドになって虐待をしてきた質屋を殺してこの店を乗っ取ったとか?
そこに勝手に入ってきたから怒ってるのかな〜。
とりあえず言葉は通じるっぽいし謝れば大丈夫か?
「あっあ〜あのすみません。別になんか悪いことしようとかは全然なくて!あれです
あの質屋かと思ってたんですけど違ったっぽいんででますね。ありがとうございました〜〜〜」
頭を下げた前傾姿勢のまま入ってきた扉へと向かう。
入ってきた時よりも多くのものに引っかかるが気にしていられない。
聖騎士見習いの時に多少習ったアンデットは弱いとされる者でも今の私にとってはどれも勝てるとは思えない。
フードをかぶっているとこや言葉を使うところを見るにあれは魔法使いが死んだ時に生まれるとされる”リッチー”だ。
子供でリッチー?
あり得るのか?
生まれ変わった時に異様に骨が縮んだのかもしれない。
なんでもいい。厄介ごとからは逃げるのが吉だ。
冒険者ギルドの出来事で学んだ。
ドアに手をかけるかかけないか辺りでまた声がかけられた。
「ここはあんたの言う通り質屋だよ。だからそうやって商品を雑に扱ってもらうと困るんだけど」
声帯は腐っていないのか包帯に口を覆われていても子供のようなかんだかい声でリッチーは喋った。
リッチーはカウンター裏ではなく、手前の横にすわりこちらを見ている。
どうやら質屋は開店中らしい。
このまま出ていくのも恨みを買いそうなので仕方なくカウンターへと戻る。
「あのこの剣を見てもらいたいんですけど・・」
「あたしは鑑定できないよ。オッサじゃないと」
「おっさ?さんですか?お父さんが店主さんなんですか?」
「師匠だよ!!私をガキだとでも思ってるのか!?なあおい!!」
椅子から飛び上がり胸元を掴みかかってきた。
身長が子供ぐらいなのとオッサという名前?がお父さんという発音だと
聞き間違えた結果どうやら地雷を踏んでしまったようだ。
万能薬の龍の血は富、名声、力をくれるが危険が危ない @baibaisan
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