第5話 世界樹
紋章は光を灯しながら、手の甲から腕へと伸びていく。
そして、その光が全身を包み込む……。
さっきまで見ていた景色が一気に変化する。
これは一体どういうことだ……?
俺の中に疑問が渦巻く中、樹木から声が聞こえてくるのだった。
――我を目覚めさせし者よ。感謝しよう。
「あっ……、ああ」
俺の口から自然と言葉が漏れた。この声は……。この巨大樹の声なのだろうか。
そんなことを考えながら俺は心の中で問いかける。
「あんたは、一体……?」
そんな俺の問いに答えるように樹木は静かに口を開いた。
――我の名はユグドラシル、この世界の始まりの大樹である。
……始まりの大樹?
その言葉に疑問を抱いていると、樹木は話を続けた。
――神々が認めしテイマーよ。汝、この集落を救いたくばカラドリウスを従えよ。
……カラドリウスを?
しかし、どうしてそんなことを俺に言うんだ?
そんな疑問を抱いていると、再び樹木の声が聞こえてきた。
――汝が我に力を授けし時、汝には我が力の一部が宿った。その紋章こそが汝の力である。その力を使いカラドリウスと共に戦え。さすれば、集落の者たちは救われるであろう。
俺は自分の手の甲を見る。するとそこには黄金に光り輝く紋章が刻まれていた。
その紋章は、先程よりも強く光り輝いている。
……これは一体?
そんなことを考えていると、樹木は再び言葉を発した。
――では、汝に祝福を。さらばだ。
その言葉を境に、目の前の光景が一気に変化する。樹木から煌々と輝いていた光もすっかりなくなっていた。
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