第30話

廊下は、ひどく寒い。

引き戸の隙間から寒さが風とともに入り込んでくるからだ。

はぁ。と吐いた息が白いのは。

寒さからか。それとも凌を理解できない苦しさからか。

さゆは、再びあふれ出した涙をぬぐい、せめて雨戸を閉めて寒さを追い出そうとガラス戸に手をかけた。

そのとき。

雪の降り積もる白い庭先にある人影に気がついた。

浴衣のままコートも着ていない璃桜が、ふわふわとした髪をなびかせて雪の中しゃがみ込んでいる。

「え!風邪ひいちゃうよ、璃桜ちゃん!」

さゆは慌てて外に飛び出すと、自分が着ていたカーディガンを脱いで璃桜にかけた。

「璃桜ちゃん、早く中に入ろう」

璃桜は肩にかけられたカーディガンに、かすかに微笑んで見上げる。

そこにあるのは、小さな白い雪玉。

葉っぱと実がくっついている。

璃桜はそれを手ですくい上げて、さゆに渡した。

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