都市伝説 『うれしいひなまつり』の歌

もっちゃん(元貴)

第1話 ひなまつりの歌

  

   あなたは、知ってましたか?


 毎年恒例のひな祭りの時にかかる『うれしいひなまつり』の歌には、隠された秘密があるんです。


 この歌、一般の方は怖い歌には聴こえないですが、とある山深い村に代々伝わる話を聞くと、怖い曲に思えてくるんですよね。


 その話は、ひな祭り伝説と呼ばれています。


 昔あるところに、あかねという10代年半ばの少女がいました。


 あかねが住んでいる村にはひな祭りの季節近くになると毎年、魔物が住む山と言われている山に猟に向かった若い男性が原因不明の治らない病気にかかり、亡くなってしまったことがあり、村人たちはみな恐れていたのだった。


 ある夜、その村の村長の夢の中に、魔物が現れ、こう言い放ったそうです。


 「オマエの村から若い娘をワタシの妻に捧げるのであれば、病はたちまちなくなるだろう」


 村長は、村人を集め、何度も話し合った結果、魔物の言うことをきくことになり、妻として、あかねが差し出されることとなったのだ。


 あかねは、村が救われるのであればと思い、魔物の妻として捧げられることに納得し、美しく着飾って魔物が住む山へと向かい姿を消した。


 明くる年から、ひな祭りの季節になっても原因不明の病にかかる人はいなくなり、村に平穏が訪れました。


しかし、20年後のひな祭りの日の夜、村長の夢の中に、魔物が現れ「なぁ、新しい村長さんよ。また若い娘を妻に捧げてくれないか?前、捧げてくれた娘は、もういなくなってしまってなぁ。1人だと寂しいんだよ」


 治らない病気はもうこの村からなくなったし、20年も前に起きた出来事だったので、新しい村長は、魔物の存在を信じていなかったのだった。

 そういったこともあり、魔物の言うことを何年も無視していたところ、原因不明の治らない病が再燃して、あっという間に、村全体に広まり村長の娘やほとんどの村人が亡くなってしまったのだ。



 「今日は、たのしいひなまつり〜♪」



 その後、毎年、今でも魔物の住む山とされている山からその歌が隣村まで、ひな祭りの日になると聴こえてくるそうだ。

 隣村の村人は、気になってしかたがないでしょうね。

 その歌を歌っている声が、なぜか少女の声に聴こえるそうですからね。もしかして、魔物に捧げられた少女の声じゃないか?とみな思っているのでしょう。


  なぜ、少女の声だってわかるのかって?


 それは、あの有名な『うれしいひなまつり』のあの歌声が、その少女の肉声に似ているというあかねのいた村人の生き残りが証言しているからですよ。


    怖いからやめてですって?


 それなら、もっと怖い話をしましょうか?

 

 あなたが住んでいる街中で流れている『うれしいひなまつり』を歌っているのは、もしかして、その少女かもしれませんよ。

 

 その歌声を聴いた人は、ひな祭りの夜、夢の中に魔物が現れ……


 おっと……その後の話はあなたのためを思うとしない方がよろしいのでは?



 だって、わたしは、その話を最後まで聞かされて、いまにいるんですからね。


 えっ?お前は誰で、一体どこにいるかって?それは、あなたのご想像にお任せしますよ。ふふっ。


        



          終


 

 

 

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都市伝説 『うれしいひなまつり』の歌 もっちゃん(元貴) @moChaN315

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