高校卒業記念短歌
エバラ
文芸部誌掲載短歌
連作
人生のスタイル
いっかいも染まったことないこの心そのカタオモイは何色ですか
エモいとか受け入れられない僕だからいつまで経っても片思えない
上質な恋を求める段階の友がいるだけ友がいるだけ
目の前の二人の世界は眩しそうブレザーの紺しか見えないや
デオキシリボ核酸みたいだと思った絡んだ指を通す階段
おうどんのお狐様に恋を問う不自然な程に丸いかき揚げ
人生のスタイルが良い人用の酸っぱい恋が用意されてる
人生のスタイルが悪い人用の酸っぱい恋は廃棄されてる
君たちがもっているということだけでママチャリですらオソロみたいだね
ぶどうジュースの泡は紫だけどあわい恋愛は何色なんだ
以下単独作品
短歌 同じ釜の飯をたいらげすっぱだか一晩あれば心友となる
愛されたとしてあなたを愛してるwelcome to the胸の中
マイカーに乗るだけなのに赤兎馬にまたがるみたいな顔をしている
苦瓜のようなとげとげに撫でられた足の臭みに似ている感情
ごめんねってたくさん言われたから俺はありがとって返そうと思うよ
一回も乗ったことない飛行機も小さい頃は毎日乗ってた
こんだけの味噌できゅうりが食えるのに浪費家だよねなんて言うなよ
あの日見た古本屋とかホテルとか全部行けたら人生全クリ
行ってきますと言う時もただ一人雨外套はかけたまんまで
いつまでもささやかなままの君のためNGワードを用意している
思い出が閉店したと聞きましたオールナイトニッポンで過ごした日々に
恋愛はABCで進むらしいそりゃいきなりHは無理があります
どこまでもついてくるなよ龍角散どのバッグにもその袋あり
りんりんと軒下暮らしが鳴いていたならばおいらは踊っていよう
寒天のゼリーを食べても感じない海藻を食う海藻サラダ
動物のあぶらは食えなくなるのに再現されてる大豆ミート
カマキリがハサミを自慢してる間にハリガネムシは水場を探す
火曜日は恐ろしいほど火曜日で水木曜日はなんか金曜日
この星は少しだけ青すぎるから爆発四散して赤を足そうか
欠伸したと嘘をついて泣いた日もソフトクリームは美味しかった
高校卒業記念短歌 エバラ @ebara0000
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