第11話

ヒビキは元気のないアタシを元気付ける為にヒラさんにヒイロを紹介してやれと言ってくれたらしい。


らしいってのはホノから聞いた話だから真実は分からないけど、ヒラさんが言ってたってホノから聞いたからそれは真実なんだと思う。



「ユラちゃん、また明日ね」


「はい、何時もすみません。ヒイロちゃんも連れて来てくれてありがとうございました」


「ふふっ、いいよいいよ!ユラちゃんが楽しそうでお兄ちゃんは嬉しいよ!」


「ヒビキも、何時もありがと」


「何もしてねーよ」


「ううん、それでもありがとう。気を付けて帰ってね」


「おやすみ、ユラ」



何時もと変わらずアタシの頭をするりと撫でて去って行く車が見えなくなるまで手を振るアタシは、昔とは変わったななんて思う。


例え家の前まで送ってくれたとしてもこんなに手を振ってばいばいをするなんて事はしてこなかったし、今は寂しいってあまり思わなくなった。


昔は家に帰ると寂しいと言う感情が大半を占めていて、その感情に動かされて夜の街へと出ていた。

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