バイト
あばらし
第1話 初めてのバイト
私もついにバイトを出来るのか。
私は中学の頃までは年齢的に出来なかったバイトをようやく出来る事にあまり実感が沸かないまま、履歴書を書いていた。
「ん?最終学歴って…〇〇高等学校在学中でいいのかな」なんだか履歴書を書くというのがかっこよく感じながら私は書き進め完成した履歴書に高校で撮った証明写真を切り取って貼り付けた。
SNSを見ているとみんなバイトがだるいなどと言っているが全くその思考が理解出来ない。どれだけ考えてもレジのボタンを押してバーコードを読み込んだり品出しなんて楽しいに決まっている。
しかし、今日今からある面接にはとてつもなく緊張している。
面接ってどんな感じなんだろうと思ってあらかじめ聞かれることなどを動画でも予習したがやはりどんな感じなのか完全には掴めず緊張というか恐怖さえも感じている。
しかし時間は無情にも刻々と経っていき私は家を出た。
家から2番目くらいに近いコンビニに応募したので大体の場所は分かっているつもりだったが、例のコンビニが見つからない。
面接は15時半からなのに現在の時刻15時半、遅刻確定だ。
唯でさえ恐怖の面接に遅刻などもってのほかなのにやってしまった。
重度の方向音痴にはほんとにうんざりだ。
スマホのマップを見ながらやっとの思いで辿り着いたけれど誰にどう声をかければいいのかさっぱり分からない。バックヤードに勝手に入れば良いのかな?いや流石にそれはマズイな不法侵入してきた不審者だと思われてしまうかもしれない。
とにかく一番偉そうなおばさんに声を掛けようとして、レジ前に会釈をしながら「すみません、15時半から面接の〇〇です 遅れてしまってすみません」と、なんだかすみません、すみませんと何回もすみませんを言ってしまったみたいで少しおかしかったかもしれない。
するとおばさんは「あー… 佐藤さーん!」
とバックヤードに向かって店長らしき人の名前を呼んだ。
どうやらこの偉そうなおばさんは店長では 無かったみたいだ。
すると出てきたのはアイラインが太くて強調されていて、目の周りには白いラメが光っているスタイルがいいおばさんだった。
おばさんと言っても母より少し若いと見えるのでそこまで年を食っては居ないだろうけど
若いとも言えない感じの人だった。
「取り敢えずここお客さん居るからバックヤード行こうか」 とごく当たり前の事を言われただけ だけれど、学校とは違うなと思わされた。
「あ、はい!」
私はやる前の不安が人より大きいだけで
いざやっている間は人より落ち着いて挑める
と思っているのでもうこの時には何を言われても大丈夫だと、覚悟が出来ていた。
私が10分も面接に遅刻した事に関しても。
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