実録・桃色の節句

sorarion914

独白

 嫁ぎ先には、身の回りの世話をしてくれる若い女官が三人いた。


 主人に気があるのか、私の見ている前で色目を使う。

 甲斐甲斐しく世話をしてみせるが、腹の中では何を考えているか分かったものではない。

 いけ好かない三人娘め。

 覚えていろ――


 屋敷には他にも大勢の男衆がいる。

 どれも一癖ありそうな面子。


 左右から意見を言い合うオッサン二人は酒癖が悪い。

 加齢臭もヒドイ。

 もう最悪。


 楽器を奏でて場を盛り上げる五人の男衆はチャラついててウザい。

 アイツら、裏で変なクスリやってると思う。

 通報されればいいのに。


 それと雑用係が三人ほどいるけど――

 こいつらは、ちょっと情緒が不安定な様子。喜怒哀楽がやたらと激しい。

 早々に暇を取らせて病院に行かせるべきだ。

 可哀そうに……


 こんな所に嫁いで、もう何年経つだろう。


 今年も桃の花がキレイに咲いた。

 毎年、ろくに世話もしてないのに枯れもせず、よく咲いてくれる。



 やはり。

 養分がいいのだろうか?




 さて。



 今年は誰を、埋めてやろうかな?




 ふふふ……


 灯りをつけましょ**に。

 ***をあげましょ、桃の花―――……





 ……END

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