ひなまつりに咲く恋

楽(がく)

第?章 ひなまつりに咲く花

貴方が...

ひなまつり?

私の名前は下地貴子(しもじたかこ)。

高校3年生の眼鏡をかけている女の子だ。

そんな私、貴子は3月3日がいつも楽しみにしている。

子供っぽいけど私達はどうしてもこれだけは昔から譲れない。


それは何かといえば3月3日に合わせてひなまつりをしてお婆ちゃんが贈ってくれた巨大なひな壇などを飾る事。

毎年毎年楽しみだけど今年の3月3日は特別な日になりそうだった。

何故なら親友の美少女の有島有紀(ありしまゆき)が3月9日には都会に引っ越して出てしまう。


都内の大学に通う為に、だ。

美少女の...というか男前といえる感じのモテる彼女は結局大学に行くまでに99人に告白された。

しかしその全てを破棄した。

彼女は一切、男子生徒と18年間、付き合わなかった。

私は謎に思いながら卒業式を迎える。


そして2人で見れる最後の3月3日が来る。

恐らく私も大学生になるから忙しくなるだろう。

そう思いながら私は有紀を見る。

有紀は相変わらず男前な感じで私を見る。

そんな有紀の隣に横に居る私はお婆ちゃんから贈られた豪華なひな壇を見つつ私もお婆ちゃんの様に有紀を見る。


「今年で最後だねぇ」

「そうだね。...貴子と一緒に見れるのこれで多分最後だね。医学部だしね」

「頭良いよね。有紀って」

「良くないよ。...外見でちやほやされるのが嫌なだけだから見返してやろうって思っただけ」

「私、憧れるな。貴方に」


私はこの街の福祉系の大学だ。

だから有紀とは天地の差がある。

産まれてから一緒の幼馴染と今年を含め18回も一緒に見たこのひな壇を見れるの...これで最後かぁ。

そう思いながら私はひな壇を見る。

私はこう呟いた。


「将来、お雛様の横に誰が座るんだろうね」

「...え?」

「私達の横に誰が座るんだろう。男性でね」

「...」


目の前のお雛様達を見ながら私はそう考えながら将来を楽しみにする。

すると有紀が「ねえ」と声を発した。

私は「ん?」と横を見る。

そして有紀を見ていると勢い良くその場に押し倒された。

へ?

私が有紀を見上げる形になる。

え?


「ゆ、有紀?」

「...私じゃ駄目かな?」

「ん?な、何が?」

「貴方という綺麗なお雛様の隣に座るの」

「.....は!!!!?」


私は絶句してから赤くなって顔を上げる。

有紀は私を見下ろしながら「...私、貴方が好きなの」と言ってくる。

それから有紀は私に顔を近づけてキスをした。

はい!?


「ゆ、有紀!!!!?」

「私ね、ずっと貴方が好きなの。だから純潔も守った」

「は、はい!?」

「私じゃ駄目かな」

「駄目かなって!?わ、私が好きなの!?冗談でしょ!?」

「私は嘘は言ってない。100回目の告白は貴方にしようって思っていたから」


有紀は私の唇をまた塞ぐ。

それからそのままキス...っていうか!

有紀、し、舌を!?

あわわわわ!


「ゆ、有紀。待って?!」

「私は...貴方が好きでたまらなかった。この18年間。だから私...貴方と付き合いたい」

「...」


私は泣き始める有紀を見る。

その姿に私は「そうなんだ...」となる。

有紀は「貴方の優しさに...いつの間にか惚れて。身勝手でごめん」と言いながら赤面し始める。

「嫌でしょ?こんな...気持ち悪いの。女の子同士なのに」とも。

私は首を振った。


「有紀」

「な、何?」

「...私はこういう恋はよく分からないから。でも幼馴染だから。...横に居るぐらいなら」

「...本当に?良いの?」

「うん」


私は抱き着いて来る有紀を抱き締める。

それから私はひな壇を見ながら有紀の頭を撫でた。

そして私は「苦しい中で想いを伝えてくれてありがとう」と感謝して言葉に言い表しながら有紀を見た。


fin

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ひなまつりに咲く恋 楽(がく) @tanakasaburou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ