第7話 愛息子・ボン
あの出会いこそが運命なんやと思う。
あれは高校生の頃の事。バイトを終え帰宅してる途中で、パートさんが「ジュースでも買い〜」とお駄賃くれたのを思い出した。
家の近くの自販機でジュースを買おうと自転車を停め『さ〜て、何買おっかな♪』と選んでいると自販機の後ろの植え込みがガサガサと音を立てた。
何?!とビビリつつ(薄暗ったのもあって)植え込みを覗くとガサッと何かが飛んできた!反射的に受け止めてしまい『何や何や?!』と腕の中を見ると…何ということでしょう!とても可愛らしい子猫がっ!
まあ子猫といってもそこそこ育ってはいたけども。
子猫は私をじっと見つめていた。可愛い〜と一瞬でメロメロに。
しかも子猫、めちゃくちゃ懐こい!熱烈なキスまでかましてくるw
「一緒に帰る?」と聞いて自転車の籠に入れてみるとおとなしく座っている。
が、家に着いた所で気付いた。お母さんに怒られる…と。子猫にごめんと謝って泣く泣く別れた。
仕事から帰ってきた母に怒られた。
子猫にせめてもとカリカリを与えてしまった為に家の周りを彷徨いてると。
うああ、ごめん子猫…。
でも、結局家の側を離れずミャアミャア鳴く子猫に母が折れて家に迎え入れる事に!
やったあ!!!
当時はまっていたラノベのキャラクターをもじって〈ボン〉と名付けた。
ボンはとても可愛くて家の家族によく懐いた。特に私にはベッタリで私も息子のように可愛がった。
元々人懐っこかったんやろなあとおもってたけど…。実際は超人見知りで家族以外には一切姿を見せることはなかった。
どゆこと???
私にはボンの方からアプローチしてきたのに…?
だからきっと運命やったんかなって。何かお互い惹かれるものがあったんやろな。
そんなボンとはほんまに短い間しか一緒に居られやんかった…。
猫白血病にかかってしまったから…。
それでも亡くなるその瞬間までボンは私と共に生きてくれた。
容態が急変したボンを病院に連れていく途中キャリーから出たがったボンに私も何か感じたんやろな。普段やったらキャリーから出すことはないけどその時はボンのしたいようにさせてあげた。
そしたらヨロヨロしながらも必死に私の膝の上に乗ってきて。そして…私の膝の上で息を引き取った。
最後の場所に私を選んでくれた。
そう思うと涙が止まらんかった。
心の底から愛おしかった。
また、いつか、逢いたいなあ。
私とボンは運命やから逢えるかな。
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