笑ってください

信頼できる語り手

第1話 定食屋で死にかけた

 久々に外食に行きましてね。


 伝わるか分かりませんが……民家と併設されてる感じの定食屋でした。


 中に入ってメニューを広げると「刺身の漬け丼」なんてモノがありまして、注文してみたんです。


 ただ、この漬け丼の味付けが思った以上にカラい。これはちょっと食べるのがツラい。


 しかし、出されたモノを残すわけにもいかず、どうにか一気に完食したわけですよ。


 急いで食べたので喉が詰まりそうです。机の上に置いてあったピッチャーからコップに水を注ごうとして……水が出ない。


 右回り。給水口が開かない。左回り。開かない。


 上に引っ張る。押し込む。開かない。


 さながら隠しコマンドのように「上上下下左右左右BA」と試してみましたが、全く開きません。


 観念しました。店員さんを呼びます。ピッチャーの給水口が開きません、と。


 そうすると、流石は店員さんですね……笑顔でピッチャーを弄って言いました。


「新しいのに替えてきますね」


 いや、開かんのかーい。


 喉が!喉が詰まりそうなんです!嫌だよ、こんな死に方!


 まあ、そんなこんなで新しいピッチャーが登板しました。嬉しい。なんだこの達成感。


 そして、スルリと蓋が回り、やっとコップに飲み物が注がれました。


 アッツアツの御茶がね。


 多分、御茶を必死でフーフーした人類選手権があれば上位を目指せますよ、私は。

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