第40話 衣装を決めよう!②

【宮城翔】


 「工藤。前に来て一緒に、方針を決めよう。」

 と、末広さんは、工藤を前に来るように呼んだ。

 あれ、佐川は?

 

 真は、

 「まずは、みんなは、布を持ってきて欲しい。どんな生地でもいい。あるだけ欲しい。」

 

 すると、佐川が手を挙げた。

 「まずは、どんな階級の衣装かを決めるのが先ではないでしょうか?」

 

 末広さんが、

 「佐川、良いこと言うわね。珍しく偉い。」

 褒められた佐川は、嬉しそうだった。完璧に末広さんの手のひらの上で転がされている?

 

 「宮城君、そこの所詳しいよね。」

 と、末広さんが尋ねてきた。

 

 「そうだな、どうだろう。

  ・武士の階級

  ・庶民の階級

  ・その他

  に分けてみたら。」


 「うん、良かったら、宮城君、黒板に書いてみて。」

 

 俺も、黒板の前にきて、板書してみた。

 ① 武家の階級 

   ・男子

     直垂ひたたれ:普段着 

     甲冑かっちゅう:戦

   ・女子

     うちき:普段着 

     壺装束つぼしょうぞく:外出着 


 ② 庶民

 ・男子:筒袖つつそで括袴くくりばかま

 ・女子:小袖こそで


 ③ その他

 ・巫女 

 ・白拍子しらびょうし

 

 「こんなところでどうかな。末広さん。」

 

 「ありがとう、宮城君、どんな服装があるかは分かった。ただ、まだイメージがわかないな。」

 

 すると、須見さんという女子が、

 「私、1組に戻って、タブレット取ってくる。」

 と言って、教室に戻っていった。

 

 末広さんが、

 「人数の割り当てはどうする、工藤。」

 

 「そうだな、どこまで作れるかの問題があるからな。きっと、みんなも着たい衣装があるだろ。」

 みんながどの衣装がいいのか、各々希望を話していると、須見さんが戻ってきた。

 そして、検索して衣装のイメージの例を電子黒板に、写してくれた。


 「須見さん、ありがとう。とても分かりやすい。」

 

 真が

 「確かにな。けどよ、もっと、きちんとしたイメージがデザインされたものがないと、オレは作れないぜ。」

 「誰か、イメージ図を描いてくれる奴、いるか?うちのクラス、美術部とかいないのかよ。」

 

 すると、具志堅さんが、手を挙げた。


 「具志堅、美術部だったか?」

 

 「私じゃなく、加藤さんです。」

 

 「え、加藤?どこにいるんだ?」

 よく見ると、具志堅さんの後ろで、恐る恐る手を挙げている黒縁の眼鏡をかけた140㎝ぐらいの女子がいた。

 

 「加藤、イメージ図描けるのか?」

 

 「描けるって言ってます。」

 

 「本当か?ちょっと描いてみてくれよ。」


 「加藤さん、白拍子のイラストを、鉛筆ですでに少し描いてみたそうです。」


 「え、早いな。ちょっと見せてくれよ。」

 加藤さんは、ルーズリーフの紙を具志堅さんに手渡した。

 具志堅さんは、その紙を真に手渡した。


 真は、目を凝らしながら、その紙を見ていた。そして、具志堅さんの後ろの加藤を見ようとして、少し体をずらして、

 「スゲェな!このデザイン、完璧だぜ!!」

 と言った。


 しかし加藤さんは、真の視線をずらすように、具志堅さんの体の横側に隠れてしまった。

 

 真が、

 「さっきから、具志堅が答えてるじゃねぇか。加藤、オレ褒めてんだぜ。まったく。照れなくてもいいじゃねぇか。とはいえ、このオレに褒められたんだ。気持ちは分かるぜ。」

 

 具志堅さんが、

「照れているのではなくて、工藤君が苦手だそうです。怖いから、直接話すのは、嫌なんだって言ってます。」

 と加藤さんの言っていることを伝えた。


 「な、なんだって!!この超絶素敵マンのこのオレのどこが怖いんだ!!」

 

 「あの、工藤君。」

 

 「なんだ。具志堅。」

 

 「加藤さんが自分の顔を鏡でよく見た方がいいと言っています。」

 

 「おばあちゃんの孫のこのオレの顔のどこが悪いってんだ!!」

 

 「加藤さん、工藤君のおばあさんの顔知らないと言っています。」

 真、加藤さんの言う通りだよ。

 

 でも、加藤さん、真を怖がっている割には、遠慮せずにズケズケ言っているよ。それを、直接そのまま伝えている具志堅さんも、凄いけど。


 真は、ため息をつきながら

 「ま、怖いならしょうがねーな。でも、この白拍子の絵、鉛筆だけで良くここまで描けたよな。」

 と、加藤さんを褒めた。

 加藤さんは、また、具志堅さんの後ろに隠れたけど。

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