3
第12話
それから2ヶ月が過ぎた、ある日の診察時間後のことでした。
私は病院内を回って細々とした雑用を済ませ、精神科に戻ってきました。
「草馬先生、薬剤部に出した書類のことですけど…あら?」
診察室を覗きこんで、私は足を止めました。
…草馬先生が、カルテの散乱するデスクに頭を伏せて、眠っていたのです。
他のスタッフは既に帰っていて、診察室はとても静かでした。先生のかすかな寝息だけが響いていました。
(先生…疲れていらっしゃるのね…)
精神科は、医療従事者にとってもストレスの溜まる職種です。研修期間を経たとはいっても、経験の浅い若い医師にとって、心を病んだ患者を診るのはどんなに緊張を強いられる毎日であることでしょう。生真面目で献身的な性格の草馬先生には、なおさらに…。
(風邪ひきますよ…草馬先生…)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます