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第6話
数日後、新しい先生方が着任されました。若くてハンサムな草馬先生は特に女性の目を惹きました。
何やかやと瑣末な用事を作っては精神科に押しかけてくる他科の看護婦達。病院内を案内しますとか、用紙を持ってきてあげましたとか、新歓コンパに出ませんかとか。
「この病院の人達は皆、親切ですね」
そう言って微笑む草馬先生に、私はひきつった笑顔を返しました。
(皆、貴方を見に来てるんですよ…とは言えないし…はぁ…)
それでも、間近で先生を見ていると、私も胸がどきどきするのは否めませんでした。
育ちの良さを感じさせる上品な物腰、眼鏡の奥の知的な瞳、細くて長い指。お坊ちゃんらしく少し頼りない感じがするのも、逆に女性の母性本能をくすぐるのでした。
(やっぱり…役得、よね、私…)
つい、頬がゆるんでしまう私なのでした。
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