⑥ バッターに関する言い回し

第32話

攻撃側の主役はバッター。

実況アナウンサーは多くの言葉を用いて、バッターの様子を細かく伝えてくれます。


① 「右打席」「左打ち」


バッターが立つ位置、すなわち「バッターボックス」は、ホームベースを挟んで左と右に分かれていますよね。

ピッチャーから見て右側のバッターボックスを「右打席」、左側のバッターボックスを「左打席」と言います。バッターの側から見た左右とは逆なのでお間違えのないように。


そして、いつも左打席で打つバッターを「左打ち(左打者)」、いつも右打席で打つバッターを「右打ち(右打者)」と言います。

状況に応じて左右の打席を使い分けるバッターは「両打ち(スイッチヒッター)」と言います。

ピッチャーの「右投げ/左投げ」の際にも説明しましたが、バッターの「右打ち/左打ち」は、ピッチャーとの相性などに関わってくるので、監督の戦略において大きな要素となります。



② 「泳がされる」「差し込まれる」


バッターのスイングに関する用語です。

「泳がされる」は、しっかりとしたスイングができずにフラフラとした中途半端な打ち方になってしまうこと。

「差し込まれる」は、速球に対応できずに振り遅れてしまうこと。

「詰まる」は、バットの芯(打球が最も良く飛ぶポイントとなる部分)に球を当てることができていないこと。

「引っ張る」は、思いっきりバットを振り切って(フルスイングして)、右打者がレフト方向へ、左打者がライト方向へ、打球を飛ばすこと。打球の勢いが強く、ホームランなどの長打が期待できます。

逆に、右打者がライト方向へ、左打者がレフト方向へ、打球を飛ばすことを「流し打ち」と言います。打球の勢いは比較的弱くなりますが、打率が上がりやすいと言われています。


③ 「空振り」「見逃し」


ピッチャーが投げた球に対して、スイングしたけどバットに当てることができなかったときが「空振り」。

ストライクとなる球に対してスイングしなかったときが「見逃し」。

3つめのストライクを取られた球に対して空振りをしたか見逃したかで「空振り三振」または「見逃し三振」と表現されます。


④ 「打ち上げる」「切れる」


打球の様子を表現する言葉。

「打ち上げる」とは、バッターがフライを打ってしまうこと。

「ボテボテ」とは、パワーが弱く遅いスピードのゴロを表す言葉。「ボテボテの内野ゴロ」という感じで使います。

「切れる」は、打球の進む方向がフェアかファールか最初は分かりにくかったけど、結果として方向がそれてファールになったときなどに使います。


⑤ 「ネクスト・バッターズ・サークル」


次に打つバッターが待機する場所のこと。

実況アナウンサーは、スターティングメンバーの打順どおりに打っている間はあまりネクスト・バッターズ・サークル(省略して「ネクスト」とも言う)の状況を説明することはありません。

逆に言うと、実況アナウンサーがこの場所の状況を話し出すということは、次のバッターが代わること(代打)が予想されるということです。

「次の打順はピッチャーのアドゥワですが、ネクスト・バッターズ・サークルにいるのは長野です」という実況があったら、代打として長野選手が出てくる可能性が高いということ。ただし、必ずそうなるとは限りません。

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