② 実況アナは喋り続けている
第28話
ラジオの野球中継はどんな感じか、試しにサンプルとして書いてみましょう。
なお、以下のサンプルは実際の試合には一切関係ありませんのでご了承ください。
***
7回表のスワローズの攻撃、2アウトから山田哲人センター前ヒットで出塁。ランナー1塁で打席には4番のバレンティンが入ります。
ここまでバレンティンは、見逃し三振、ライトフライ、ショートゴロで未だに出塁なし。しかし、一発のあるバッターだけに、ここは警戒しないといけないところ。
マウンド上の大瀬良、曾澤のサインに大きく頷く。セットで構えて、1塁に牽制、セーフ。
曾澤、外に構えた。セットから、第1球。アウトローのスライダー、わずかに外れてボール。
ワンボール・ナッシングからの第2球、投げた。バレンティン、打った!大きい…が、これは切れそうだ。3塁側スタンドに飛び込むファール。距離は充分でした。
アウトローのストレートがやや高めに浮いたか。甘い球でした。大瀬良、ふーっと大きく息をつきます。
ワンボール・ワンストライク。大瀬良、1塁に牽制。1塁ランナー、手から戻ります。セーフ。
曾澤はここで内に要求。大瀬良、第3球、投げた。インローのボール球、膝元をえぐるカットボール。バレンティン、腰を引いて避けました。
ツーボール・ワンストライクからの4球目。曾澤の構えは外。大瀬良、投げた。ワンバウンドするフォーク、空振り!バレンティン、思わず手が出てしまいました。
カウントはツー・ツーの平行カウント。7回表、ツーアウト、1塁ランナーは昨年度トリプルスリーを達成した山田哲人。2対2の同点、ここでバレンティンに一発が出ればスワローズの勝ち越しとなる場面。
大瀬良、曾澤のサインに首を横に振る。もう一度。なかなかサインが合わない。ようやく合った。第5球、セットから、大瀬良、投げた!
「アァーーーーイ!!」
見逃し三振!内角低めのストレート、コースぎりぎり!バレンティン、今のはボールじゃないのかと言いたげな顔で球審の白井を見ますが判定は変わりません。スリーアウト、チェンジ。
7回表、大瀬良は山田哲人をセンター前ヒットで塁に出しましたが、後続のバレンティンを見逃しの三振に打ち取ってしのぎました。2対2。7回の裏は2番の菊池からの打順です。
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スワローズファンの皆さん、サンプルに使ってしまってすみません(。-人-。) ゴメンネ
しかし、こうして文字にしてみると、ラジオの実況アナウンサーが試合中にずーっと喋り続けていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
さらに、実際には、この1球ごとの合間に、①隣の解説者に解説を求める、②両軍のベンチ裏に待機しているアナウンサーから入ってくる情報を受ける、③他球場の試合経過を読み上げる、などなど、膨大なデータをちょこちょこと挟み込んできます。
そのように、刻々と動き続ける状況を瞬時に伝えなければならないため、専門的な言い回しが多くなってしまうのは仕方がないところ。
では、先ほどのサンプルも使いつつ、ラジオ独特の言い回しについて一つずつ説明していきますね。
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