第13話(裏)
父が発送した国際郵便が、双子の元に届いたのは、メールのやり取りから数日後だった。郵便が届いたのは朝方だったが、双子は仕事があり、じっくり吟味するわけにもいかなかった。しかし、夜まで待つのももどかしい。結果、移動中の隙間時間に確認しよう、ということになった。
封筒は怜が思っていたよりも分厚く、ずっしりと重い。須藤善司に関する資料が多く手に入ったのだろうか、と思いながら、怜は移動中の車の中で封筒を開けた。
入っていたのは、ほとんどがA4の紙だった。二十枚くらいの束である。適当に引っ張り出してみれば、それは須藤善司の日記のようだった。おそらく、彼はパソコン上で日記をつけており、それをプリントアウトしたのがこの束なのだろう、とわかる。
パラパラと目を通すが、どれも簡素な文だ。英語が通じなくて苦労した、とか、今日は腹が痛い、とか、そんな一言のみが日付と共に残されている。
「一番新しいのってどれだろう」
「ちょっと待って。これ日付順に並んでるみたいだから……あった。これだね。六月十六日」
「本文は?」
「例によって、一言だけ」
——綺麗な泉だった。
双子は目を見合わせ、ひとまず紙の束を封筒に戻そうとする。その時、封筒の中にハガキくらいの紙が一枚残っていることに気づいた。
静がそれを取り出し、確認する。
「写真だね」
「写ってるこの人、ロン爺さんかな」
「隣の人は?」
「奥さんじゃない? 僕らのひいばあちゃん」
「確か、名前は」
エルム。
イングランドの歴史において、人々の裁きを見守ってきた木と同じ名。
双子は写真を凝視する。そこに映っているのは、二十代くらいの男女だ。エルムは西洋の婦人が着るドレスに身を包んでおり、ロンはタキシードのような服装だったセピア色の写真では、二人が何色の服を着ているかまではわからなかった。
結婚した時の写真かもしれない、と双子は思う。エルムは椅子に座り、その傍らにロンが立っている。どちらもきゅっと口元を結んでいた。ロンは目つきが鋭く、髪を短く切り揃えている。どちらかと言えば面長だ。一方、エルムは垂れ目で優しそうな顔立ちであり、肉付きがいいのか、ドレスを着ていても曲線的なラインが目立つ。二人とも、西洋人らしい、鼻筋の通った顔立ちだ。
「これがロン爺さんか」
「やっと顔がわかったね」
「うん。あと、エルム婆さんだけど」
「ああ、僕も思った」
「似てるよね」
双子の声が揃い、視線が交わる。二人は同じ記憶を思い出していた。
森の奥、そこに根ざした大木。風にたなびく緑の髪。美しい少女の姿。
動物園で、アリアの息子・司を誘ったドライアド。
あのニレの木に住んでいた妖精の姿を思い出す。
——ニレとは、エルムの木のことだ。
「つきましたよ」
運転手の声を聞き、双子は写真を封筒の中に戻した。お昼時ではないから、ファミレスの駐車場はガラガラだ。
ハイエースを降りれば、そこには若い男が立っている。
「月刊オカルト旅の者です。本日は、取材、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「どうか、お手柔らかに」
双子は、愛想よく微笑んだ。
*
[ユニレスの相談室]
この数日、お休みをいただき、ありがとうございます。おかげさまで体調も回復しましたので、これからもどうぞよろしくお願い致します。
それでは、本日のお話に参りましょう。
豊かな森がありました。狼の精霊が守るその森は人間の手も入っておらず、太古のまま、自然の美しい姿を持っていました。
その森で暮らす、一匹のリスがおりました。リスは働き者で、毎日せっせと種を集めては、誰にも取られぬよう地面の中に隠していました。けれど、あまりにたくさん集めていたので、どこに隠したのか、忘れてしまうことも多くありました。おかげで、空腹に耐えねばならない夜もたくさんありました。
せっかく集めたのに、もったいない。
そう思ったリスは、友達の小鳥に相談しました。小鳥は答えました。
「それなら、ずっと持っておけばいい。君には立派な頬袋があるじゃないか」
すると、リスは頷きましたが、同時に困り顔でこう言いました。
「だけど、頬袋には少ししか入らないんだ」
小鳥はまた答えました。
「それなら、一等大きな実だけを選んで、その一つだけを入れておくといい。そうすれば、埋めた場所を忘れても、空腹に耐えなくて済むだろう」
リスは、それならできそうだと喜びました。
そして早速見つけた一等大きな実を頬袋の奥に詰め、リスは巣穴へと帰りました。
その夜は激しい嵐が吹き、リスが暮らす森は一夜にして無惨な姿になってしまいました。
木は悉く折れ、生き残ったのは森でも指折りの古木数本のみ。幸い、リスの巣穴はその古木のうちの一本にあったので、生き残ることができました。
変わり果てた森を見て呆然としているリスは、友達の小鳥は大丈夫だろうかと心配になりました。
森だった場所を走っても、獣の足音も、鳥の羽音も何も聞こえません。友達の小鳥を何度呼んでも、返事はありませんでした。
歩き疲れたリスは、泥に刺さる倒木の上で一度休むことにしました。お腹が空いていましたが、森のあちこちに埋めた木の実は、もう本当にどこにあるかわかりません。あるのは、頬袋に入れたままの一粒だけ。
リスはそれを手に取って、これを食べたらどうなるんだろう、と思いました。この大きな木の実は、本当に最後に残った一粒。食べてしまえば、次はない。食べれば今日は生きられるけど、明日はどうなってしまうのか。
そう考えているリスの前に、狼の精霊が現れました。森を守っていた精霊は、美しい緑の毛並みが茶色く濁っていて、今にも消えてしまいそうでした。
精霊はリスに言いました。
「その木の実は、この森が残した最後の子ども。それがあれば、月日はかかれど、森を直すことができる」
精霊が何を言いたいのか、リスはすぐにわかりました。
「それはよかった。さあどうぞ」
そうして、リスは、最後の一粒を、精霊に渡しました。
精霊は言いました。
「ありがとう。このハルニレの種があれば、いつか必ず森は蘇ることだろう」
精霊が消えていくのを見守って、リスは倒木の上にしばらく座っていました。けれど、そのうちどこかへ行ってしまいました。
彼がどうなったのかは、誰にもわかりません。
ドライアドの祝福、というお話です。
今日生きても、明日にはどうなるかわからない。ならば今日終わったとしても同じことだと嘯く人もいるでしょう。
それは、本当にそうでしょうか。
明日になれば、泥の中から別の木の実が見つかったかもしれないのに。
今日見つからなかった友達に、明日は会えたかもしれないのに。
たかが一日、されど一日。けれど、たった一日。
その重さは、果たしてどれほどかと問いかける。そんな意味の寓話です。
*
夢にも似た世界の中で、双子は、とある古木の前に立っている。その木は、この国ではニレと呼ばれているが、双子が生まれた国ではエルムと名付けられた。
青々と生い茂る葉は、森の中ですら、周囲に溶け込むことなく、明確にその存在を主張している。
木漏れ日を見上げ、双子は眩しさから手のひらで光を遮った。
その手のひらの輪郭は、二重に重なっている。
魂だけの世界では、双子の姿は、どうしてもこうなってしまうのだ。
何度も使いたい力ではない。幾度も繰り返すべき方法ではない。それでも、現実の体が多忙ゆえに動けない以上、一刻も早くこの地に来るには、これしかなかった。
動物園の周りに広がる天然林。地元ではそう説明されるが、実際は逆だ。天然林を切り開いて、動物園が作られた。
もともと、ここは森だった。緑が広がり、川が流れ、獣が息づき、鳥が囀るだけの世界だった。
曽祖父は、薬の商人として、明治期に日本と英国を行き来していた。ただ、わかっているのはそれだけで、彼が具体的に日本のどこを訪れたのかは定かではない。取引帳簿のようなものが残っていればわかったのだろうが、それは百年近い年月の中で失われた。
だから、ここに痕跡が残っているので、この土地にも来たのだろうと、思うしかないのだ。
「さて、それで、どうしても聞きたいのだけど」
「どうして、あなたがここにいるんでしょうか」
「エルムさん」
二つの声が、一つの問いを紡いでいる。その問いかけに反応してか、枝葉が大きく揺れた。
木漏れ日の中、風にたなびく美しい緑の髪が見えた。
*
ロン・ティータに関する考察は、日数が経過しても勢いが衰えることはなく、むしろさらに加熱した。
その理由は、霊現象と思しき事態に遭遇したという話が、一部のネットユーザーから上がっていることが大きい。ロンに関する考察を投稿しようとしたり、閲覧したり時、パソコンやスマホが急にエラーになったり、窓が音をたてたり、一人暮らしの家で奇妙な声が聞こえたり、中には老人特有の体臭のようなにおいを感じた、といった証言もある。
そして、そういった現象が起きる時、投稿されている考察には共通点があった。
それが、ロンの幼少期に言及するもの、という点だ。このことから、一連の出来事は「本物である」と、よりネットの熱が加速した。
ネットで発信することが職業にもなる時代だ。トレンドの話題として盛り上がれば、注目を求めて、ロンの話を取り上げるインフルエンサーも現れる。それにより、さらにロン・ティータの名を知る人間は増えていった。
その為、双子のテレビ出演が決まったのは、ある意味では必然の流れと言える。テレビ番組における初のメインキャストが、曽祖父を扱うエンタメ番組になるとは、と、怜は苦笑いしながら額に手を当てた。自宅のソファーに腰掛け、夜の九時を指す壁掛け時計を見上げて、あくびをした。
その手元には、父から送られてきたロンとその妻が写った写真がある。
曽祖父と、曽祖母。会ったことはないが、確かに存在した人たち。自身の命が亡きこの二人が生きた証なのだと思えば、不思議な心地にもなった。それを噛み締めながら、隣に座る片割れへと顔を向ける。
「ねえ静。ロン爺さんの写真、記者に見せなくていいのかなぁ。きっと喜んでくれるだろうに」
「ダメだよ。それは虎の子だからテレビまで取っておいてくれってマネージャーにも言われただろ」
「そっかぁ。待ち遠しいなぁ。次の金曜だっけ?」
「そう。もうすぐだよ」
「まだ五日あるよ」
「そんなのあっという間だよ」
「ま、そうだね。準備、間に合うかなぁ」
「どうだろ。エルム婆さん、何も話してくれなかったもんなぁ。ひ孫なのに」
「僕らのこと知らないのかもね。ずっと日本にいたのなら、イングランドで生まれて育った僕らを知る機会ないかもだし」
「そもそも、そこだよね。なんでエルム婆さんが日本にいるんだ? ドライアドになってまで」
「普通に考えれば、あの木がロン爺さんが植樹した木だからってことになるけど……おかしいよね」
「ロン爺さんが日本とイングランドを行き来してた時、エルム婆さんはまだ生きてたはずだ」
「爺さんが持ってきた木はオークだって、アイナ婆ちゃんは言ってたよね。ニレも持ってきたんだとして、それがアイナ婆ちゃんにまで伝わってないのはなんでだ?」
「フェイ爺ちゃんがさんざ言ってたオークの木はどこにある?」
「うーん……」
双子は揃って首を傾げる。チクタクチクタクと、時計の針が進んでいく。ぼうっとしていても、考え込んでいても、何かに没頭していても、時間は平等に流れていく。下手の考え休むに似たりだ、と思った怜は、スマホを取り出し、適当な掲示板を開いた。ロン・ティータに関する考察が連なっているページだ。
「……お、静、見て。この掲示板。僕らのことも書いてるよ」
「えー?」
双子はよく似た顔で、一つの画面を覗き込んだ。
[そも、ひ孫だっていうあの双子ってどんななん? 信用できるんか?]
[トランスジェンダーとか、そういうキャラクターで売ってる。とりあえず炎上歴はないっぽい]
[センシティブな奴じゃないですかやだー]
[そのうちクソフェミみたいなこと言い出すんじゃね]
[生放送の時みてたけど、割とさっぱりしてる性格っぽかったぞ]
[で、男なん? 女なん?]
[片方は心は男で体は女って奴。もう一人は男でも女でもない、心の性別が男と女の真ん中タイプって言ってる]
[真ん中ってなんぞ。意味がわからん]
[両性具有とは違うん?]
[両性じゃなくて中性らしい]
[何それなぞなぞ?]
[ほら、哲学者の血筋だから]
[イクスジェンダーで検索してみ]
[例の虐待ババアはクソフェミだったんだよなー。男性全否定で、女は被害者なんだーって感じだった]
[典型的]
[そういう性差別問題って不定期に炎上するよな]
[だって燃えやすいから]
[なぜかキレる奴が必ず出てくるから]
[みんな暇だね]
[こんなとこいるお前が言ってもブーメランにしかならんのやで]
[で、結局双子はどーなの。信用できるの]
[信用できるかできないかじゃない、するかしないかだ]
[ポエムは他所でどうぞ]
[センシティブな属性を売りにしてて、炎上歴がないんだから要領はいいんでないの]
[明日には燃えてるかもしれない]
[とりあえず、今日告知された特番に向けて待機だな]
画面上に並んだ粗雑な言葉の数々に、双子は顔を見合わせて、お互いにくすりと笑った。
「要領いいってさ。褒めてくれたよ」
「調子に乗るなよ、怜。明日には燃えてるかもしれないってあっただろ。でもやっぱり、セクシャリティの部分はあんな感じの反応になるよねぇ」
「そりゃしょうがない。普通は改めて考えることなんかないんだから」
「テレビでこの話題出たらどうする? ロン爺さんのことがメインだから可能性は低いけど、一応考えとかないと」
「あー。安易なこと言えないよねぇ。どうしたって、その瞬間はマイノリティの代表みたいになっちゃうから」
「話題の出方にもよるけど、ネガティブ系は一切NGだし、苦労話もグレー。割と難しいよねぇ」
「考えること、増えちゃったね」
「全くだ」
怜はけらけらと笑い、スマホをしまう。代わりに、静が机に置いてあった紙の束を手に取った。
須藤善司に関わる資料だ。
「ダメ元で頼んだのに、手に入るとはねぇ。言ってみるもんだよ」
「それ、何度か見たけど、最後の日以外気になることはないよね。手に入ったのはいいけど、骨折り損かな」
「骨折ったのは父さんだから別にいいんだけどね。うーん……」
「どしたの、静」
「……この記録を通じて、須藤善司と繋がれないかな。彼が過ごした時間の記録だろ。がんばれば、あるいは」
「おいおい」
怜は呆れた声を出して、片割れの背中をぽんぽんと叩いた。
「気は確かか? ついこの間倒れて、さらにエルム婆さんにも会いに行ったばかりだよ? テレビで何が起こるかもわからないのに」
「わかってるよ。でも、今は少しでも手がかりがほしい」
「……母さんが、なんで渡貫さんの母親を見つけられたか?」
怜の問いかけに、静は重々しく頷いた。
「そうだ。母さんの成れの果てはイングランドにいた。渡貫さんのお母さんが渡英してたんなら別だけど、正直、それは考えにくいと思う」
「同意見。渡貫さんの話を聞く限り、家計に余裕のある家ではなかったようだし。海外移住はもちろん、海外旅行だって難しかっただろうね」
「なら、遠い二つの国をつなぐ何かがあったはずなんだ」
「それが須藤善司だと?」
「彼は、血縁上は司くんの祖父にあたる。須藤善司がイングランドにいたのなら、司くんを経由して、渡貫さんにまで縁が届く」
「同時に、渡貫さんの母親にも、か。うーん……」
「須藤善司は、最後の日記に泉のことを書いている。彼は僕らの生家の近くに仕事で来ていた。もし、この泉が、母さんが身を投げたあれだとしたら?」
「……須藤善司が、現地で何かしたかもしれない?」
「眠っていた亡者を起こして、さらにその干渉が血縁者にまで及ぶほどの何か。怜、なんだと思う?」
「……なんだろうねぇ。わかんないな」
「だから、わかるかもしれない」
「…………」
怜と静はしばし睨み合った。静の目は静かで、そこに感情の揺らぎはない。普段優等生ぶる静が意固地になることは珍しく、そしてそんな時、この片割れを止めることはできないと、怜はよく知っている。
「……一度だけだよ」
「うん。ありがとう」
「よく言うよ」
双子は同時に呼吸を深める。目を閉じ、空気の流れを感じ、やがて聞こえ出した耳鳴りに集中する。
その耳鳴りは、まるで妖精の歌のように、美しい調べなのだ。
双子の意識は、そうして体を離れた。
*
そこは暗い場所だった。右も左も真っ暗闇で、足元すらもおぼつかない。月明かりも星明かりもない夜。真夜中の曇天を歩いているような感覚だ。
陽の光が届かない、上下左右の感覚も不要な空間。須藤善司の魂が在る場所。
彼は、生きていない。双子はそう確信した。
この力は、人間の魂に干渉する力だ。より即物的に言うのなら、他人の無意識にアクセスする力と言える。
現実世界で普通に生きている人間ならば、もっと雑多なもので溢れている。妖精や幽霊に取り憑かれている人間なら、それらが望む景色が広がる。以前のアリアがそうだった。
それでも、生きている人間の魂なら、どこかに光は差しているのだ。アリアの時も、何もない水の中ではあったが、太陽のような光は燦々と降り注いでいた。
この漆黒は、死者の魂に触れた時にしか現れないのだ。
双子は闇の中を進んでいく。より深い奥底へと、この世界の主を探して潜っていった。
彼は、暗闇の中をひとり漂っていた。
「須藤さん」
声をかけても返事はなかった。くたびれた紺のスーツを着た後ろ姿からは、何とも言えない疲労感と寂寥感が漂っている。
「須藤さん、泉で何をしましたか」
やはり答えはない。長居はできないという焦りから、双子はやや声を荒げた。
「泉を荒らしたりしませんでしたか? ゴミを捨てたり、中で泳いだりしませんでしか」
「あなたが起こしたモノのせいで、色々面倒が起きているんですよ」
「答えてください」
須藤善司はゆっくりと双子の方を振り返った。面長の顔は、頬がこけ、深いクマが刻まれており、いかにもやつれている。しかし、目だけは爛々と輝いていた。
「——願いごとを、した」
病人が絞り出したような声だった。
「きれいな、水だった。美しかった。もうだいぶ前に、妻と、小さかった息子と一緒に行った、北海道の湖を思い出した。こんなに綺麗なんだから、神様がいるかもなぁと、思った」
途切れ途切れのかすれた声。須藤善司は、骸骨のような顔で双子に笑いかけた。
「あの頃に——戻れますようにと、願ったんだ」
双子は言いたいことが溢れたが、同時にぐらりと足元が揺れる感覚を覚えた。もとより、無理矢理つなげたのだ。長くは保たない。
ただ、これだけはと、双子は叫ぶように告げた。
「戻れませんよ」
双子が最後に見たのは、泣きそうに歪んだ、疲れ切った男性の顔だった。
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