第21話 流れ着いて
うーん、どう話したもんかなぁ。
「……父ちゃん聞いた話なんだけどな、俺ってば川辺に打ち上げられてて、全身傷だらけ、あちこち骨が折れてたんだってよ。多分、上流で川に落ちたんだろうってな。しばらく父ちゃんと母ちゃんに手当てしてもらって、回復することができたんだ。それ以来、親だろう人が訪ねてくることも無かったし、そのまま育ててもらったってワケよ」
「というと、君の生まれは君ですらわからないのか……」
「本当の両親だなんだって
そう言うと、
「レ゙オ゙ン゙ぐん゙……」
「はぁ?!何泣いてんだティオ!」
「だっでぇ……親孝行な話じゃないでずがぁ……」
ここで珍しくミリアから話題を振ってくる。
「……いつからかレオン君はグレンツ地方で過ごす子になったこととは分かったんですが、育てて下さった親御さんはレオン君に、純粋な剣術のみを教えてたんですね」
「父ちゃんはめっちゃ強いぞ。勝たせてもらえたこと無いし、一回も勝ったことも無い。この学院でいっぱい学んで、父ちゃんに勝つことがある意味恩返しかもな」
「すごいお父様なのね、それだとレオン君は
セラが目をキラキラさせながら聞いてくる。もしかしたら、この子も強い戦士に憧れているのだろうか。
「おうよ。この学院には
「
この話ばかりはティオも誇り高しといった様子だ。
「ん、なんか、俺の話をしてたら、エドワードの話になったな」
「そうだな、脱線してきたところで話も終わりにして食器を片付けるとしよう」
――――――――院内の道中
「そういえば、
「あー、アルスな。あいつ2つの流派に適性があるんだろ?……というか、そんなにすごいことなのか?」
「すごいなんてもんじゃない、エドワードがこの世を去ってから、複数の流派を扱うことのできる戦士は生まれてきていないんだ」
パウルがいつになく興奮している。
「レオン君、刻印の流派は6つあるのはご存知だと思うんですが、パウル君の言う通り、複数の流派に適性がある戦士は現れてないんです。」
と、ティオが被せてくる。
「同時に使えないだけで、一つずつなら切り替えて使えるとか、それこそ特注の刻印があるってんなら、そいつの魔力に合わせて擬似的に複数の……とか。そういうのも無いわけか?」
「無いですね。だからこそアルス君の複数適性というのは学院のみならず世間の注目を浴びているんですよ」
「ますます大ブレイクじゃねーかアルス君よぉ」
「そんだけ人気も実力もあったら、ゆくゆくは生徒会長ですね」
ミリアが思いついたようにパウルに話しかける。
「生徒会長か。そういえば生徒会選挙、そろそろだな」
「パウル様は出るんですか?」
「いや、俺は今年度の立候補は諦めるつもりだ」
「んあ、あんでだよ、てか生徒会ってそんな入ったらすげえのか?」
伸びながら呑気に聞くと、ティオが目をキラキラさせながら答えてくれた。
「生徒会長、すごいですよ!なんせ生徒会は力ある者の中でも認められた人が選ばれるものですからね。この学院で人をまとめながらも、強くある戦士が生徒会に選ばれるんです。複数の刻印を扱えるかという点を除けば、学生の中で
「ほーん、俺パスだな」
「え!レオン君出ないんですか!」
「おう」
「パウル君もですか?」
「ああ、出ないな」
「生徒会長だろ?面倒くさそーじゃねーかよぉ。武闘会ってわかりやすくテッペン決めるイベントがあるのに」
「ふっ、レオンらしいな」
「だろ?俺らしいってもんよ。ん?お前それ褒めてンのか?」
「ああ、愚直でいいと思うぞ」
「クッ……俺に負けたくせによぉ……」
「何ぃ……!」
最早頭突きでもかまそうかという距離で
「はいはい、パウル様もレオン君もバチバチしないで」
「……すまない、まあ、今回出ない理由として、編入試験でレオンに敗れたことも関係ないわけでは無いからな。あの時から、心に決めたのだよ。自分の弱さと向き合う必要があると」
……なるほど、編入試験以来、どことなく大人しいのはそういう訳か。
「んで、その選挙はいつやるわけよ」
「かなり早い時期にやるそうだ。新入生と違い、2、3年生は授業を進めていることだろうから、3学年揃った今、もう始まる頃だと思うのだが……」
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