第5話中天に戻り魔天王と戦い新しい世界が広がる
部屋に戻るとこれまでの出来事を手紙に書くと机の上に置いて廃ビルに向かい中天に着いた。それからすぐにニカラの所へ向かった。ニカラは優二を見ると近づいて来て
「帰って来てくれてありがとう。」と言った。
「礼を言う必要はないよ、自分が何者か知りたくて帰ってきただけだから。そのためにはカエラに会って確かめようと思ったんだ。それだけの事。気持ちは決まったのでこれから出かけるので、上天に行く方法を教えて欲しい。」
「上天に行くには東の滝に向かって行く途中に洞窟があります。そこに上天に通じる通路を作っているのでそこから行って欲しい。そしてこれは魔天王の城がある地図になります。城の見取り図もここに有るので参考にして欲しい。」
「ありがとう。それではすぐにでも出発します。」
「ちょっと待って。一人で行くつもり?」
「そのつもりだが・・・」と言った時、後ろから。
「優二水臭いぞ。」と声がした。振り返るとナンテン、アナン、カナが立っていた。
「事情はすべて聞いた。俺たちも一緒に行くからな。」優二は彼らの顔を見てただ頷いた。ニカラは
「あなたたちにこの世界の運命が預けられています。カエラを開放して下さい。」
その言葉を聞いて優二たちは上天に向かった。
上天に行く途中ナンテンたちは特に話をせずに、黙々と歩いていた。東に向かい滝を探したが道に迷ってしまいその日のうちに滝を見つける事ができなかった。どこか泊まれるところを探していると山小屋を見つけた。中に入ると一通りの備品がそろっていて泊まれそうだったのでそこに泊まる事にした。
そこにはテーブルも有り椅子も有った。三人は座って食事をして魔天王の城の見取り図を見ながら話し合った。まず城には堀があって正門は一つしかないが裏には窓があってそこから何とか侵入できそうな感じがあったので堀を渡り侵入することにした。
その役をカナが“自分がやる”と言ってきた。カナは小柄で窓からも入りやすそうだったのでそれを任せる事にした。そして門を中から開けたらみんなで突入してそのまま魔天王の部屋に向かう事で話はまとまった。そこまで決まると四人は就寝した。
朝になり洞窟を探して何とか見つける事ができ中に入り上天に着いた。そこは暗い雲が覆っていてなんとなく雰囲気が悪かった。一行は城を探して、迷ったがしばらくすると見つける事ができた。
城に着くと夜中になるのを待って作戦通りカナがお城の裏の城壁を登り窓から入って行った。警備はそんなに厳しくなく、難なく門の所まで来る事ができた。しかし門を開けるには門番が立っていてそれを何とかしなければいけなかった。
そこで発煙筒を焚き大声で「火事だ!門を空けろと!」叫んだ。門番は慌てて門を開け一目散に逃げて行った。門が開き門番が居なくなったのを確かめて優二たちはお城に入って行った。
城に入ると魔天王の部屋に向かって行った。お城は魔天王の部屋に行くには迷路になっていた。それは見取り図によって分かっていたので抜ける事ができた。最後の部屋に入り次の部屋が魔天王の部屋に入りかけた時天井が降りてきた。それをテンジンとアナンが抑えて「優二俺たちが抑えている早く魔天王の部屋に行け!」と叫んだ。優二はそれを見て少し躊躇した。それに対して
「何ぐずぐずしている。俺たちもそんなに時間は稼げないさっさと行くんだ!」
優二は「分かった!」そう言うと魔天王の部屋に入って行った。
部屋に入ると魔天王は椅子に座りこちらを見ていた。優二は
「カエラはどこにいる!?」
「カエラか・・・、カエラはその奥の部屋で休んでいる。あまり騒がしくすると起きてしまうので静かにして欲しいものだな。」
「ふざけるな。カエラを誘拐して幽閉していくせに!」
「人聞きの悪い事を言うな。何事もないように安全な場所に保護してあるだけだ。」
「そんな事はどうでもいい。カエラに合わせてもらう。」
そう言って歩き出そうとした時、床が抜けて下に落ちてしまった。魔天王は
「その部屋は自信を見つめる部屋だ。その部屋から抜け出したものはいない、しかし私は心優しい人物だ。最後にヒントをやろう、自分を見つめ直して心を無にすれば何か起こるかもしれない・・・」
「どういう事だ!」
「それは自分で考えたまえ。」そう言うと床が閉まり部屋は真っ暗になった。
優二は言われた通り何も考えずに無に成ろうとした。それを続けているうちに意識が遠ざかり暗闇に引きずり込まれそうになった時に声が聞こえた。
「優二・・・・優二・・・考える事を止めないで、考えて・・・考えて。」
その声に対して「君は誰だ。」と言ったが、返事は無くまた意識が遠のく感じがしたときに
「考えて・・・考えて・・・」と聞こえた。そこで優二は
“そうだ考える事を止めたら終わりだ。ここから抜け出す方法は何かあるはずだ!考えろ!”
そう思って目を開けた。すると先にかすかに明かりが見えた。その光に向かって歩いてそこを抜けたら魔天王が立っていた。魔天王は驚き
「どうしてあの部屋から抜け出した。あのまま何も考えずに無に成ったら幽閉できたのに。」
「お前の思い通りになってたまるか。人間は考える事によって道を開くんだ!」
「そうか折角殺さず幽閉しようと思ったがそれはやめてここで死んでもらおう。」と言うとピストルを優二に向け発射して銃声が響いた。しかし優二は倒れず魔天王が倒れていた。優二は後ろを振り返るとテンジンとアナンが立っていて銃口から煙が出ていてピストルを撃ったのはテンジンだった。
「二人とも無事だったのか!」
「ああ。なんとかな。そんな事より早くカエラに会いに行け。」そう言われて優二はカエラに居る部屋に入って行った。
部屋に入るとカエラが立っていて二人は見つめ合った。そして優二が
「闇に落ちそうになった時救ってくれたのは君だね。」
カエラは静かに頷くと二人はどちらからともなく近づいて手を取り合いその後お互いに相手を抱きしめた。その時光が満ち溢れ世界が統合され二人はその世界に立っていた。
別れた世界(パート2) 滝川れん @maekenn09
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