あとがき
lie
一
空を見てみる
雲一つなく、パレットに投げつけたような青が広がっている
晴天なのにどうしてこんなに憂鬱なんだろうか
息を吸う、吐く
3月始めの外は少し寒く
春の始まりを感じられそうにはない
春休みの大学生は足取りを軽そうに駅へ向かう
別にいつもと変わらない街のくせにやけに
感傷的に思える
二日酔いの鈍痛を抱えながらベンチに腰掛けた
「どうしようもない」
つぶやいた言葉は口に残った
やることもなくタバコをくわえた
ずっと逃げてきた
どうしようもなくなった
身体が重い思考も重くなる
駅前にはカップル、大学生、家族連れがまばらに動き
意味もなく会話をしているようだった
人はよく意味もないことを繰り返す
自分だってそうだ
また息を吸う、そして吐く
何かが変わるのか何も変わらないのか
ポケットからボタンを取り出す
押してみる、何も起きない、
押してみる、何も起きない
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