第17話



溢れる涙、流れる鼻水に格闘する事数分、ようやく終わりが見えてきた頃に車窓から見る街並みが変わったことに気がついた。


少し住宅が多くなったような気がする。それに反比例するように私の涙や鼻水は少なくなった。


そんな私に気がついたのか黒須さんが「お家だけどね」と言った。


「俺の家、一応オートロックで俺の友達のご両親が管理してる賃貸だからフロント企業じゃないから大丈夫だよ。そのご両親に1人増えることも了承得てるから心配しないでね」


「……ありがとうございます」


「でね、家は1LDKだから俺の寝室とリビングは兼用になっちゃうけど気にしないで。あと家具とかは俺の友達にも手伝ってもらって選んだんだけど、気に入らなかったらごめんね」


「……色々準備してもらって……あと元々は黒須さんの寝室とリビングは別々ですよね」


一人暮らしだったのに、急遽2人で生活できる仕様に変えてくれたみたい。

私も前のお家はワンルームだったから、リビングで生活することが出来ないわけじゃないのはわかるけど、一人暮らしじゃないにも関わらずパーソナルスペースがないのは嫌じゃないかな。

黒須さんが寝ている横で私がテレビを見ているとかあるだろうし。

いいのかな、とモヤモヤしていると黒須さんは見透かしたように「俺の部屋が兼用ってことなんだけどさぁ」と切り出した。


「俺ね、4人兄弟で、今大学2年の弟と高校2年の妹がいるの。実家にいた時は弟は俺の部屋でゲームしてるし、特に妹なんて俺の事が大好きだからいつの間にかベッドで一緒に寝てるとかザラでね。自分1人で過ごすって事が殆どなくて。今は一人暮らしだけど家では寝てるだけだから、全く一人暮らしの感覚はないから大丈夫」


付け加えで「シスコンとかじゃないよ。起きたらいつの間にか横にいんの」と言っていて何その理由と思ったけど、本人が大丈夫と言っているのなら甘えるしかないか。

あと割と兄弟と年離れているんだ。


「あとね、いつはるこちゃんが来てもいいように大分前からリビングにベッド置いて生活してるんだけど、おはようからおやすみまで全部リビングで完結するからとんでもなく快適。カップ麺をベッドで寝転がりながら待てるとか最高」


顔はとんでもなく美男子で私を家に住まわせる為に動く度胸もあるのに、話せば話すほど親しみやすい普通のお兄さん。

あとお仕事柄仕方がないんだろうけど、話を聞くと日常生活に困らない程度のズボラなんじゃないかと。

ご実家は医学部に通える財力があるだろうから高級志向だったらどうしようと思ったけど、黒須さんのこの感じだとこれは家事が得意ではないけど人並みに出来る私でそれなりに満足してくれる方ではなかろうか。











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