第九章 見えざる力、迫りくる影

奏との一件を通して、桐人は、自分の持つ力のことを、改めて考えるようになった。弾道の軌跡が見える。それは、一体どういう力なのか?なぜ、自分に備わったのか?


彼は、その答えを探すため、様々な文献を読み漁った。古武術、神秘主義、脳科学。あらゆる分野の本を読み、自分の力についての手がかりを探した。


しかし、決定的な答えは見つからなかった。ただ、いくつかの仮説を得るにとどまった。


ある日、桐人は、侠和会の豪田から呼び出された。


「桐人、最近、裏社会で不穏な動きがある」


豪田は、深刻な表情で言った。


「敵対組織が、新たな勢力と手を組んだらしい。その勢力は、非常に危険な連中だ」


桐人は、豪田の言葉に、警戒心を強めた。敵対組織は、傭兵部隊を失ったにもかかわらず、再び動き出した。それは、彼らが、それ以上の力を手に入れたことを意味する。


その夜、桐人は、研斗と共に、再び倉庫街に潜入していた。敵の新たな勢力の正体を探るためだ。


「桐人、気をつけろ。何かおかしい」


研斗が、周囲を警戒しながら言った。


辺りは静かで、不気味なほどだった。敵の気配は全く感じられない。しかし、桐人は、何か大きな力が迫ってきているのを感じていた。


その時、桐人の目に、再び弾道の軌跡が見えた。しかし、それは、銃弾の軌跡ではなかった。それは、まるで、巨大な影が迫ってくるかのような、不気味な軌跡だった。


「研斗!危ない!」


桐人は、叫んだ。その瞬間、巨大な爆発音が倉庫街に響き渡った。


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