桐人の侠道
マギ・キリト
第一章 嵐の序章
桜が舞い散る中学校の校門前。主人公、桐人(きりひと)は、見慣れた風景を静かに見つめていた。中学三年生。成績優秀、容姿端麗。しかし、彼のもう一つの顔は、弱冠15歳にして近くの不良高校である風鈴高校の総長で桐人組を率いる若き組長、そして凄腕の殺し屋だった。
「桐人、迎えに来たぜ」
声の主は、同級生の青山研斗(あおやまけんと)。桐人とは幼馴染で、彼の裏の顔を知る唯一の人物。研斗は桐人に合気道を教わり、裏の仕事を手伝っていた。
「ああ、研斗。今日は侠和会(きょうわかい)の会合がある。少し早いが、行こう」
二人は、周囲に悟られないよう、流暢なイタリア語で会話を始めた。
「Andiamo. Il capo ci aspetta.(行こう。親分が待っている)」
放課後の喧騒を後に、二人は街の一角にある古びたビルへと向かった。そこが桐人組の事務所だった。
事務所の扉を開けると、厳つい顔つきの男たちが整列していた。彼らは風鈴高校のOBで桐人の部下であり、皆、桐人のカリスマ性に心酔していた。
「組長!」
皆が深々と頭を下げる中、奥の部屋から一人の男が現れた。桐人の父の知り合いで、彼を幼い頃から見守ってきたヤクザ、豪田(ごうだ)だった。
「桐人、侠和会の人達が来てるぞ。今日は重要な話があるらしい」
桐人は頷き、豪田と共に奥の部屋へ入った。そこには、侠和会の幹部たちが勢揃いしていた。
「桐人、待っていたぞ」
侠和会の会長、神崎(かんざき)が重々しく口を開いた。
「我々は、日本の裏社会を統一し、この国を裏から支えていきたいと考えている。桐人の力、そして桐人組の力は、我々にとって必要不可欠だ」
桐人は静かに神崎の言葉を聞いていた。彼の頭の中には、父から教えられた「弱きを助け、強きを挫く」という侠の道があった。
「ああ、もちろんこの街をそしてこの国を守るために全力を尽くそう」
桐人の力強い言葉に、その場の空気が引き締まった。
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