Ⅰー① 王の母となる女・内定
世紀末の現世。
人類にとって
天界からの『
ばら撒かれたヒントを
『
天界『ヘヴン』とは、
冥界『インフェルノ』とは、
ギギギイィ…………、
冥界の
そこはドロリ、
グラッジルームには無数の
彼ら(彼女ら)は権威者の一存によって
それゆえ、裸にされ、
プツンッ……!
グラッジルームに破裂音が響いた。
地縛霊たちの積もりに積もった
膨れ上がった積年の
遥か天空の彼方。
このラピスラズリの星には、未來王の親友『
彼らは、この上なき美しき男たちである。
非の打ちどころのないジーニアス(天才)である。
突出したアビリティ(才能)を有したエキスパートである。
彼らは、『
しかし、羨望の的である彼らは、非常に冷厳冷淡、ラディカル(過激)な性質だ。
愚かしさを繰り返す『
それゆえ、彼らが敬愛し
少し前まで、大宇宙は
『六世界』(天界三世界・冥界三世界)のバランスは大きく揺らいでいた。
ヘヴンの残存余力は減衰して壊滅の瀬戸際まできていた。
神々は万事休す、
神々は『ある人物』に
しかし『ある人物』は難色を示して同意せず。
最終カード(最後の切り札)『
ある人物『未來王』は、
ついに、未來王がレイン(統治者)となられた!
ようやく六世界は球体となる! 神々は連携し、ひとつになる!
我らが敬慕する未來王は嘆いている。
だがそれでも、王は休むことなく、
没落を食い止めようと足掻いている。
王が諦めていないならば、我ら魔導師が成すべきことはただひとつ!
魔導師4人衆は慌ただしい。
世紀末の現世、未來王『降誕』が決定した。
約一世紀の間、王は
降誕に向けての準備選定、メソッド(手順)、コンストラクト(構築)を急ぐ。
『王の母となる女』が定まった……。
田舎町のあばら家。
散切り頭のお
グシャリ、砂利道で
べろり、皮が
近隣の大人たちは顔を
周囲の子供たちは指をさしてせせら笑った。
チュリは唇を噛んで歯をくいしばる。
痛いけど痛くない。涙と鼻水が出ているけれど、泣いてない。
山の湧き水で傷口を洗い流した。
チュリは、空を見上げて空想に
……ああ、お腹がすいた。贅沢なごちそうを食べたいな。
カラフルなお菓子を食べてみたい。
コンドルの背に乗って、空を飛べたら楽しいだろうな。
やさしい友達が欲しい。
もしも生まれ変わったら『幸せな星』のもとで暮らしてみたい……。
こうして、ままならない毎日を『空想』で
すると『いつもの』声が聴こえてくる。
孤独なチュリの話し相手は、ヘンテコな『あいつら』しかいない。
《プルルル……、ねえ、聴こえてる? チュリの運命の相手はね、都会に住む『理髪師』の男だよ? イレーズ》
《プルルル……、聴こえるか? お前は『王の母』になる宿命を背負っている。成人後、田舎町から都会へと旅立つのだ! ゲイル》
チュリは歯向かう。
は? 馬鹿を言うな! この世には高貴で美しい女がごまんといる。
あたいが王の母になるはずがない。
ここは地獄とおんなじだ。泣いたって、誰も助けてくれない。
お利口にしたって、誰も褒めてくれない。夢を持ったって、叶うことはない。
あたいの
魔導師・シップは
ギタンジャリ・49
あなたは
わたしの小屋の戸口にお立ちになった。
わたしは ただひとり
そして、その歌声が あなたのお耳に届き、
あなたは 降りてきて、わたしの小屋の戸口に立たれたのだ。
あなたの殿堂には
そこでは 四六時ちゅう 美しい歌がうたわれている。
それなのに、この未熟者の素朴な讃歌が、あなたの愛のこころを打ったのだ。
ひとつもの悲しげな小さな
そしてあなたは、褒美にと
わたしの小屋の戸口にお立ちになったのだ。
(詩聖・タゴール)
《プルルル……、神は偉大な王国に退屈するようになるが、小さな花々には退屈しない……。(タゴール) 王とは、まさにそんな御人である。 シップ》
《プルルル……、裕福な人が、神からの恩恵だと財産を自慢するとき、神は恥じる……。(タゴール) 王とは、まさにそんな御人である。 ゲイル》
チュリは目を吊り上げて悪態をつく。
その王とやらは嫌味な物好きか?
わざわざ貧しき
魔導師・ゲイルは謳う。
ギタンジャリ・8
王子の衣装を着せられ、宝石をちりばめた鎖を
子供は遊んでいても すっかり
歩くたびに 着物が邪魔になるからです。
着物がすりきれはしまいか、
子供は 仲間から離れて、身動きすることさえおそれます。
母よ、晴れ着で束縛しても 無益です。
もしそれが 大地の健全な
庶民の暮らしの 大いなる祭典に参加する権利を奪うというなら。
(詩聖・タゴール)
《プルルル……、ねえ、聴こえてる? この
《プルルル……、チュリ、聴こえるか? 腹をくくれェ! 運命に流されろ! クロス》
人間性の尊厳は、わたしたちが人生の嵐に立ち向かわなければいけないことを義務づけている。
(ガンディーのことば)
チュリは頬を膨らませる。不満げに口を尖らせる。
魔導師4人衆は愉快気に笑った。
吹き抜ける風は、クイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』の
♪
なにも心配ない なんの問題もないのさ どうせ風は吹くのだから…………
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