第3話この世界は
リンさんに連れられ、大きな建物の前にやってきた。
「ぅわあ〜!」
建物の大きさに思わず声が出た。
「そんなに驚くこと?まあ初めてだったら驚くのかな…?
まあいいや!ようこそ私たちの故郷へ!」
俺の方を振り返り、手を広げ歓迎するように言った。
「ふる…さと?ここで生まれたんですか?」
「そう!この世界の人間はみーんな、ここで生まれてここで育って、ここで最後を迎えるの。
まあこれの外に出たらさっき見たにな化け物がいたりするから…。
みんなこの中にいるしか生き残る方法がないだけなんだけどね。」
少し寂しそうにいうリンさん。
「そうなんですか…。
でも流石に全員は、狭くないですか?
食料とかもあると思いますし…。」
そう言いながら、目の前に視線を送る。
リンさんによって扉が開けられた建物の中は、外見以上の広さがあった。
「ふっふっふ!驚いた?
そう!このドームには、空間拡張機能があるんだ〜!
いやーすごいよね!中は結構広くて総人口は、もう少しで一億人に到達するの!
もちろん中には、海や森とか食料も袖てられる環境があるから、問題はないの。
私もね広すぎて、まだ行ったことない場所もたくさんああるんだけど…。
とりあえず君には、お話があるからあの真ん中にある城にきてもらうんだけど…。
話が終わったらまぁ、自由にしてもらっていいと思う!」
リンさんの目線の先には、かなり大きめの城があった。
城と言っても、見たことない外観の城だった。
「すっげぇ…!」
ただ、声が出た。
今まで家族に縛られて、確かにいろんなものを見てきたけど。
そのどれにも当てはまるようなものではなくて…。
ただすごかった。
「すごいでしょ⁉︎いやーほんとわかってるな〜!
よし!とりあえず着いてきて!」
そう言ってリンさんは、僕の前を歩き始めた。
「さぁ!ここが私たちの誇る、ショウサマの拠点となるオイシゲ城よ!
まあ畏まったりする必要はないから!気軽に入って入って!」
俺後ろから軽く押しながら城へと足を進めた。
「うわぁ!」
城の中に広がっていた光景は、近未来的なデザインだった。
「そうでしょ!そうでしょ!ショウサマはすごいんだから!
ここだって、ショウサマが一人で作ったって言ってたし、
ショウサマが何者なのかは知らないんだけど…。
でもいろんな人から慕われてるの。
めちゃゃくちゃ良い人だから!!」
歩きながら言っていた。
中に入って行くたびに見た事のないものがたくさんあって、ただ好奇心をくすぐらた。
「はい!ここがショウサマの部屋。
びっくりした!?すごいよね!」
そう言うリンさんの前にあるのは、城に入った時の扉よりも大きい扉だった。
「でっか…!」
この世界に来てから驚きの連続だ。
『コン、コン、コン』
リンさんがノックをする。
「ショウサマー!例の人を連れてきましたー!
入りますねー!。」
返事はなかった…。
が、リンさんは自分の十倍はありそうな大きい扉を両手で押して開けた。
「あー!ショウサマ寝るんならそこのベットで寝てくださいよー!」
そう言いながら、大きな機械の上で腕を枕にして寝ていた男の人に駆け寄った。
「んぁー、…おっ!リンちゃん‼︎どうしたの?こんなところでー!
んぉ!?誰だその坊やは!知らないやつを勝手に、いれるなよ〜。
はぁ。んで、どちら様?」
「ちょっとショウサマ〜!あなたが連れて来いって言ったんじゃないですか〜!」
「ああ、例のあの子か〜。オーケー、オーケー。
とりあえず実験は、成功だな。
よしっ。ねぇ、きみ〜?帰りたい?」
さっきまで寝ていた男の人が聞いた。
俺は少し考えた。
この意味のわからないこの世界で生きて行くのも良いのではないか。
そう思ったから…。
あの世界に帰る理由も無い…!
「俺は…俺はこの世界で生きていきたい‼︎
あんな世界に未練なんてない!
あの場所から消えれるならどこでもいい。
自由に生きれるならどこでも良い!
だから…!ここで生かさせてください!」
リンさんも男の人も少し驚いたような顔をしていた。
俺は、初めて誰かに自分の心の声を言えた…気がする。
「ふ〜ん。まぁ何があったかは聞かないけどね。
帰りたくないならこの世界で生きていけばいい。
帰りたくなったら帰ればいい。
リンちゃん!この世界について教えてあげて。
帰りたくなったらまたおいで。
その権利が君にはある。」
そう言って男の人は、ベットのある奥の方へと消えていった。
「なるほど、なるほど。
ショウサマ、めんどくさい事、丸投げしてきましたね。
まぁいいや!この世界に呼び出しちゃったのは、先に謝らして。
ほんっとにごめん。
んでね、この世界で生きて行くにあたって、身分証を作らないといけないんだよね。
それさえ作ってくれたら後は自由にしてもらって大丈夫だよ!」
そう言いながら、リンさんは小さなカードを出した。
「はい!ここに、少しだけ血を垂らしてくれる?
ちょっと痛いかもだけど、みんな生まれた時にこれをするの。
これさえしてくれたら後はもう自由だから。」
小さな針とカードを渡しながら言う。
「ここに位置を垂らせばいいんだな?」
そう確認したが、返事も待たずに自分の指に針を刺し、カードに血の溜まった指を近づけた。
『生命反応を認証しました!蒼野緑さん。これはあなた様の一生物の個人情報です。取り扱いには十分、気をつけてください。』
「ぅわあ!カードが喋った?」
「あっははー!びっくりした?
そのカードがあればこの世界では、基本的になんでもできるから。
無くさないようにね〜!
住む場所とかが欲しかったら用意するけど…どうする?
この世界を旅するもよし!どこか拠点を決めてその街で暮らすもよし!
言ってくれたらできるだけのことはするよ!」
「なるほどね、わかった!この世界を自分の足で歩き回ってみるよ。
この世界に来た時みたいに…。」
「そっか。ほしいものがあったら言ってね。」
リンさんは少し寂しげな感じで言った。
俺の異世界遊記 冬野猫 @fuyufuyunekonekotk
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