俺の異世界遊記

冬野猫

第1話ここ…どこ!?

蒼野緑、高三。

人生初めての挫折を味わう。

父は社長、母は政治家の娘の令嬢。

そんな二人の間に生まれた長男の俺は、跡を継ぐために小さい頃から英才教育を受けてきた。

父方の祖父も引退こそしているが、大企業の会長をしていた。

息子が跡継かずに、独立して成功したため、孫である俺にも当然のように期待していた。

俺もそれに応えるために、ひたすら努力してきた。

勉強はもちろん、運動、芸術、コミニケーション能力、リーダーシップ。

あらゆる方面で、周りに差を見せつけ、将来上に立つものとして、育てられてきた。


しかし…父の会社内で起きた不祥事が公になってしまった。

もちろん、父の経営する会社はバッシングを受け、今では倒産寸前。

それだけじゃない。

父方の祖父が会長だった時に隠蔽していた不祥事も明るみになり、母方の祖父も裏金や、違法取引をしていたことが分かり、俺は学校でも白い目で見られることになった。

推薦でほぼ決まっていた大学も、取り消し。

今までコツコツと築き上げてきたものが崩れていった。

学校にも家にも居場所がなくなっていった。


初めて学校をサボった。

何のために努力してきたのか…。

全てがバカらしくなった。

俺は何もしていないのに、あいつらのせいで…!

そう強く思い、川に石を投げた。

世間の目が、声が…!

俺を狂わす…。

家に帰っても何も言わない祖父と父。

今までこいつらのいう通りにやってきただけの人生だった。

こうなっては、俺はどうすればわからない。


ついに家を出る時が来た。

計画していた巨大プロジェクトが白紙に戻り、信頼も失った父の会社は、もちろん倒産。

賠償も含め借金まみれ。

今まで経験した事のない生活。

何をすればいいのかわからない俺は、学校に行かずただ遊んだ。

今までしてきた事のない事だった。

遊ぶと言っても電子機器はないし、遊ぶ相手もいない。

だから原始的な水切りや落書きなど、本当に子供みたいなことばかりだった。

今までは…誰かに見られていた。

そこに人がいた。

周りに誰もいない…。

それだけで世界がこんなにも変わるとは…。

家に帰るのも馬鹿らしくなって、真夜中に一人街を歩いた。

ただ下を見ながら…歩いた。

人の気配がない。

どれだけ歩いただろうか。

わからない。

でも何かしてないと、誰かを殺してしまいそうで。

何も考えず、ただ歩いた。

……。

気がついた時には、手遅れだった。

足元の景色が変わっていた。

周りも明るくなっていた。

異変にきづき、少しづつ視界を上げた。

人はいない…。

周りには森が広がってた。

その森には見た事のない植物だらけ。

少し遠くを見ると、大きな山と見た事のない建物。

そこにつながるように道が続いてる。

服は…変わっていなかった。

「いやっ!ここどこー!?」


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