そんな見方

　この世で生きるには、“正しさ”って割りと必須科目なんですよ。で、「正しさ」を一番カンタンに表現できる方法って、「ダレカノミカタ」でいるコトなんですよね。無料で楽しめるコンテンツで、無敵のアイテムなんですよね。“正しさ”って。行きすぎても言い訳できます。何故なら“正しい”から。「ダレカノミカタ」のフリをして、無双できるワケです。双つとない、つまり唯一無二の快感です。富も権力もセックスもオワコンです。金なんていくらあっても今じゃ税金で持って行かれますからね。権力なんて、ガソリンも同然ですよ。サンドバッグです。能足りんはヘタに権力なんか持たないほうが却って人生イージーなくらいです。セックス？そんなもの手だの道具で済みますからね。今の流行りは“正しさ”の行使です。「ダレカノミカタ」になったつもりになって人を叩くコトですね。それか、能のない夢を応援した気になって、茨の道、青天井の下をガラスの靴で歩かせるようなものです。無責任で、人の堕落が見れて、自分は“正しい”コトをしている気になれて、一石三鳥、四鳥になるんじゃないですか？

　たまにマジになって罪悪感覚えちゃう繊細な輩もいますがね。

　人の身体に包丁を刺したり、人の身体に包丁刺すような仕組みを作ったりしなければ罪に問えなかった時代から、いつのまにか言葉の包丁も罰せられるようになりましたからね。

　これを人の弱体化ととるのか、法の強化ととるのかは分かりませんね。ボクとしては、娯楽を制限された気分ですよ！人が人を燃やしているところを見られないんですからね！何よりも楽しい映画やドラマを禁止された気分ですよ！

　で？そうです。彼に夢を追うように唆したのはボクです。だって、夢を追うか堅実に生きるか、どっちが“正しい”かなんて昨今のお熱いドラマやイカした曲聴いていれば分かるでしょう？だからボクものっかったんですよ、それが“正しい”姿なんだってね。堅実な生き方しなくて生き延びられた奴等が卑屈になって自分たちは特別じゃないなんてツラしやがって、みんなに無責任に夢を見せ、叱咤激励するワケです。個々人が持つ向き・不向き、環境、才能、運命。それらをあいつらは自分たちの力じゃないなんて言いやがるもんだから、これって多分、「謙虚」を押し付けられる風潮が悪いと思うんですけれど、イメージ商売だから仕方がないですね。

　夢の終わらせ方も知らないまま、目を覚まさせてくれる人々を敵視して、それが“正しさ”みたいになって、本当は悪辣極まりないボクみたいなやつのあま～い言葉をくれる味方を求めるワケです。

風刺画で、鉱石を掘る絵があるんですけど、あ、知りません？

　あと1回ツルハシを振り上げれば鉱石に辿り着くというところで諦めてしまう絵なんですけど。

あれって搾取する側が描いたんじゃないかと思いますね。だってそうでしょうが。あんなの見せられたら、ここで辞めたらいけないってなるでしょうが。強迫観念を植え付けることができましたね。アマイユメの。

　ああ、で、彼のコトですね。器用で、頭のいい人間のためにあるんですよ、夢って。逃げ場じゃないんですよね。ちゃんと現実生きている人のためにあるんですよ。ちゃんと現実を生きっきっているというか、堅実性を併せ持ててる人に。

　ボクは彼に、「キミノミカタだよ」って言ってみたんです。何故かといえば、堕落がみたかったからです。“正し”くて、才能があって、君は悪くないってコトを言い続けたんです。言葉はナイフですからね！気を付けてあげたんですよ。

　ま、にっちもさっちもいかなくなって死にましたけどね、彼。

　人間っていいですよね～。詰むと逃げ道あるんですから。死に夢を持ててしまう業まであって。「死ねば終わる」というね。

　うっふっふ。でも自分から選んだ死はイケナイことなのでしょう？

　ボクは彼の「ミカタ」ですからね、生き返らせてあげました。あっはっは。最近流行りの「転生モノ」とはいきませんが。才が無いことに気付き、金もないところからのリスタートです。みなさん、好きなんでしょう？成り上がりモノ。

　ボクは夢追ういたいけな主人公を魅力的に仕上げる悪役に徹して、落ちぶれた彼を“叩く”ところからはじめましょうかね。この人差し指と素敵な板っぺらでね。

<2023.6.19>