第14話

「お嬢ちゃんなかなかやるね。見させてもらったよ。」


後ろを振り向くと103号室のお客様がいた。


「毒虫の幼虫とマダラ草の実を見間違うバカなんていくらでもいるがお嬢ちゃんは見分け方を知ってる人だったんだね。」

「薬草学の授業で習っていたことを覚えてただけですよ。それにこの時期に毒虫の幼虫はいません。」


私は笑いながら言うと103号室のお客様もそりゃそうだと笑った。


「毒虫の幼虫は冬にしかいないからね。今は冬じゃない。」


そういうとわたしゃの担当がお嬢ちゃんでよかったよ。お世話になったねと言って103号室のお客様は帰っていった。


「ありがとうございました!我がホテルにまたのお越しをおまちしております!!」


私は大きな声で言うと笑顔で手を振ってくれた。


ここのホテルではありえないようなことがありえてしまう。

逆にありえそうなことがありえなかったりもする。

そんなホテルで私たちは働いている。

今回は誰にもバツは下されなかった。もめ事は起こしてしまったがイズサもチーフもおとがめなし。

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