第35話
里子ちゃんの目からは大粒の涙が流れ始めた。
「…ごめんなさい…私…」
でも、とつけたして
「誠さんとはまだ日は浅いけど一緒に話せて楽しかった。本当は私この図書館で死んでるの。
でも遺体が見つかってなくて遺体の場所は最終巻に書いてあるんだけど誰もこの物語を読んでくれる人がいなくて…。」
「僕が見つけてあげるからもう泣かないで?」
僕は里子ちゃんの涙を拭う。
里子ちゃんの頬は暖かい。もうこの世にいないなんて信じたくない。
「いつかここに?」
質問すると二十年前と彼女は答えた。
二十年も前からあの世にいけずこの図書館でさまよっていたのか。
そう考えると誰にも見つけてもらえない絶望感をずっと感じ続けていたことになる。
僕は里子ちゃんと一緒に最終巻の『僕の愛した人は過去の人でした』を読んだ。
遺体の場所は図書館の中庭。
あまり人が来ないところだ。
僕は警察に電話をした。
警察は僕の話を半信半疑で信じてなかったが指示した場所を掘ると
人間の骨らしきものが出てきた。
ああ。本当なんだ。
ありがとう…大好きでした…。
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