カーゴロイド

Hogeko

第1話

 リモートロイドの開発と並行し「次世代物流計画」を進行させていた。二芯国は、度々自然災害に見舞われた。特に道路は深刻な被害を受け、復旧までに多くの時間を要した。路面の平坦さが損なわれるとトラックの通行が出来なくなり物流が停滞する事象が多く発生。これに対応するため、新たな貨物用自動車の開発が必要となったのだ。要件は、不整地を走破可能なこと、急峻な山間地でも移動できること、そして、平地では高速走行可能なことを条件とした。従来のタイヤを使用した走行にこだわらない、新たな発想が求められた。山野をハイスピードで移動可能な生物の調査から候補があがってきた。猫科のチーターだ。俊敏性、走破性、登坂能力、いずれも優れた性能を持っている。その構造を基本とするロボットの開発が始まる。チーターの身体分析から開始し、5年後、試作が完成した。チーター型4足歩行機体は荷物運搬用のカゴを背中に装備していた。その姿からいつしか、開発者たちは彼を「カーゴロイド」と呼び始めた。動作試験中に思わぬことを言い出した研究者がいた。「前足を手の形状に転換できる構造にしたらどうか?」

確かに、荷物を現地まで運搬したら、品物の中から受取人あての品物を探して渡さなければならない。速やかに検討会を開き、採用となった。標準装備されたのである。

こうして、カーゴロイドは完成した。その性能は素晴らしかった。機体はチーターのよう、しなやかな動き。柔らかな擬似肉球で地面をつかみ駆け抜ける。鋭い爪を指先から出し急斜面を這い上がる。跳躍し谷を飛び越える。新たな自動車の開発に成功したのだ。運転はリモートロイド同様、遠隔操縦を可能にしている。

荒れた路面を高速移動可能な次世代モビリティの完成だった。

カーゴロイドの運用開始後、思いもしなかったことが起こった。各自治体が道路補修をやめてしまった。そればかりか、舗装路面をはがし始めるところも出てきた。物流の大動脈は、鉄道を使用することになった。これは「労働移動禁止法」により乗客が減少していた鉄道会社にとって幸運だった。鉄道は、本来の機能を発揮し、大量の物資を一度に運べることを見せつけた。駅に到着した物資はカーゴロイドに積み替えられ、配送することが日常の風景になった。


(この物語はフィクションです。実在する人物や団体などとは関係ありません)

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