第2話 帰還。
人類の歴史というものは戦いの歴史だとよく言われる。なぜ人間というのは争うのだろうか?人間が生物であるからなのか?
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隼人、キグレ「よし!行くぞ!!」
二人は鬼神の如く気合を入れ、男に飛びかかった。
「お前ら………ふざけやがって。」
ただでさえ頭に来ていたのに、また自分に反抗してくることに男の頭は噴火しそうだった。
「もういい、みんな殺す」
隼人「おらぁっ!」
まずは先手は隼人から取った。
しかし、それを男はヒョイと拳を取った。まるでピッチャーフライを取るかのように。
だが、これは野球ではない。もう一発球が飛んでくる。
男へ、キグレが金属バットの硬さの足を打った。
「ぬぉっっ!?」
男は腕で防いだが、衝撃はものすごいものであり、腕2力を入れてもなかったら、骨にヒビが入っていただろう。
「そのような攻撃で俺が死ぬか!!」
男はまず隼人の鳩尾を蹴り入れ、怯んだ瞬間距離を離した。
隼人「ぐはっ……」
血反吐を吐きそうな勢いで唾を吐く。
キグレ「大丈夫!?」
隼人「……んー…、大丈夫ではないです…。苦しい…。」
キグレ「だろうね!!」
隼人は人と戦ったことがない。戦ったことがあるのは野生動物か、虫ぐらいだ。だから、自分の攻撃を認知して、避けたり、防いだりする生物は初めてである。大抵は一撃で終わるから。
隼人「ですけど…死ぬほどではないです。イノシシにぶつけられた時よりマシですよ。」
隼人はキグレを安心させるように言う。
だか、この状況で一つ懸念がある。
隼人「それより、いち早くこの男を倒して、アワを助けましょう。」
そう、早めに勝負を決めないとアワが出血多量で死亡してしまう。アワは太腿に刺されているため、出血が速い(太腿には重要な動脈が流れているため)。しかも、まだまだ子供であるので、大人よりも猶予がない。
キグレ「ああ、待ってろよぉアワ!」
男(なるほどな、奴らはあのガキを死なせないようにしているのだな。)
男は悪い顔をする。まるで、悪魔のような。
「お前ら、本当に間抜けだなぁ…。」
その言葉は言った瞬間、男はアワに向かって突進した。猫のような初っ端からトップスピードで。
隼人は理解した瞬間焦った、慌てて追おうとする。
隼人「おいごら待てぇ!!!」
しかし、距離は離される一方。このままではアワは殺される……………
はずだった。
隼人の右頬から灰色の塊が通り過ぎた。
隼人「……?なんだ?」
「へへへへへ、それじゃぁし
ガコン!!!
「グワッッッーーーーーアアア!!!」
塊が当たった瞬間、男は倒れもがき始めた。
隼人「え?あれは…丸石?」
隼人は今、誰かが石を投げたことを理解した。
「ふざけやがってェェェ!!!!この弱者女がぁ!!!」
隼人「!!!!キグレさん!!」
キグレ「してやったりぃってねぇ。」
キグレは誇らしそうに喋る。まるでやり遂げたかのように。
男はさらに怒り始めた。
「もういい!あの子供は後だ!てめぇら二人から先に殺す!………はぁはぁ一旦深呼吸しよう…。…………………
…………
よし、
嬲り殺しにしてやるよ。」
今度は打って変わって、亀のより少し早いくらいの速度で近づいていった。殺意が漏れているのを感じる。血の匂いもしそうだ。
隼人「どうしますキグレさん、接近戦では確実に負けますよ、刃物は複数個持っているし…。」
隼人は先程の経験により、刃物を恐れていた。しかし、キグレは心配なさそうな表情だ。
キグレ「大丈夫だよぉ、あいつは最初刃物は2本だけしか持っていないよぉ。先程投げたやつは、アワに刺さっているしぃ。あと私が攻撃してみても刃物を隠し持っている感じはしなかったし、まあ、あの刃物が刺さっているおかけで、血はあまり流れないようになっているけどねぇ。」
キグレは隼人(と読者)に説明した。
隼人「なるほど…だったらあの武器を落とせば、即死することはないでしょう。」
キグレ「まぁ、奪うというてもあるねぇ。そうすればこっちの戦力が強化されるしぃ。」
二人は男が近づいている間に戦況を考える。
相手の距離、残り10メートル。すぐに結論を出した。
隼人(刃物を奪う!!)
隼人は男に向かって走りだした。
「はっ、何を考えたかと思えば突っ込むだけか。まあいい、細切れにしてやろう、」
男は隼人に向かって黒曜石の刃物を振り下ろした。
隼人「きた!!」
ザクンっっ!
「何!?」
隼人は肩と掌を使って刃物を止める。肩の筋肉が裂けるのを感じたが、上手く防げている。チャンスだ。
隼人「隙を作りました!!
今で………す?」
隼人は一つ疑問を感じた。自分の身体の中が熱いのを。
「なに……ぃ…なぜ肩が光っている!……はっ!、?」
男は非常に驚いた。それは驚くだろう。なんせ、
光っている以外にも血液が意思を持つように動いていたからだ。
隼人「なんだ?血が、動いてる…?」
キグレ「隙ありッッッ!!ってえ?」
キグレも思わずあり得ない状況を目にし、動きを止めた。
「な…なんだ…?アツッッッ!!?」
男は火を払うように血液を払う。
「まさか、能力者か???そうか!俺があいつの横腹を切ったとき、そのまま死ななかったのもおかしいと思ったんだ!!」
隼人「能力者……?能力者って一体なんなんだ。」
隼人は、男に問いかけるが、男はそっぽを向き、離れる。
男(こいつらを殺す前に皆に伝えなければならならい。今はだめだ!こいつらを殺すより先に…、。早く皆に、"長"に報告しなければ…!)
男は何かを考えていたが、二人には全く理解が出来なかった。
男は隼人の方に振り返って言う。
「おいお前ら!!!お前らは必ず俺の手で殺す!首を洗って待っていやがれ!弱者があ!」
男は完全に背中を向いて逃げていった。
隼人、キグレ 男の逃亡により【勝利。】
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キグレ「………勝った…のぉ?」
隼人「…………」
二人はよく分からないか撃退することに成功した。
キグレ「…………はっ!アワ!アワを治療しないと!!」
隼人「そうでした早くしなければ!」
二人はアワの元へ急ぐ。
隼人「アワ……生きてるか…?」
心配そうに見つめる二人……生きているのだろうかと焦燥に駆られる。
アワ「…………………」
キグレ「そんな…まさか、」
隼人「遅かったのか…?」
隼人「そんな、アワ…くぅ、ごめ…
アワ「死んでるよ。」
隼人「そんなぁ死んでるなんていや、…え?」
アワ「早く治療して。」
隼人、キグレ「うわぁ〜〜〜〜、!生きてたぁ!!!」
アワ「はよ治療しろって!」
隼人、キグレ「はい。」
二人は自分の服を破り、応急処置を行った。
黒曜石の刃物を割り、刺さっている部分は抜かず、そのまま布を巻いた。
なるべく抜かないほうが血流が外に出るのを防げるのだ。
アワ「はぁ…………ありがとうございますキグレさん。……………ありがとう隼人。」
アワは感謝の気持ちを伝えた。しかし、その感謝の言葉が隼人が反応したそうで、
隼人「あれぇーー?強がりのお前が感謝の気持ちを伝えるとは、今日は雨が降りそうだ。」
アワ「感謝して悪いのかよぉ!!」←キグレ「まぁまぁ」
アワ「でも……心配してくれてありがとう…。」
アワは再び感謝の気持ちを言った。
隼人「……。」
アワ「あと、俺が死ぬのはいやなんだね。」
アワは先程の言葉を思い出した。
隼人「恥ずかしい……忘れてくれぇ…。」
隼人は顔が赤くなっていった。あまりにも恥ずかしいから掌で顔を隠した。素直じゃないねぇ2人とも。
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キグレ「おんぶしてあげるねぇ。」
キグレはアワをおんぶする。足を負傷しているからだ。何事にも怪我には安静だ。そして、隼人は獲物(シカ)を引きづっていた。
アワ「なんか、こっ恥ずかしいな……。あはは…。」
アワは夕焼けのように顔が紅くなる。そういえばもう夕方だ。
隼人「すいません、キグレさん。アワをおんぶしてくれて。」
隼人は申し訳なさそうにいう。
キグレ「いいのいいの、一番負傷してないの私だから。それよりももう夕方だよ。早く帰らないと!」
夜になってしまえば野生動物が湧いてしまう。狩りをするときは好都合だか、それ以外では害悪でしかない。
トトトと二人は歩く。アワはキグレの背中で寝てしまった。
帰り道の途中……
キグレ「ねぇ、隼人、」
隼人「はい。なんでしょう、」
キグレ「………能力者ってなに?」
隼人「……わかりません。」
キグレ「あの男が能力者とか言ってたけど…。」
隼人「ただのデタラメでしょう、…。いや、デタラメではないかもしれないですね。」
隼人は思考する。あの時なぜ、父と長の名前を聞いてきたのだろうかを…。
「あ!帰ってきだそぉ!!」
その後しばらく歩いていたら、我が集落についていた。先程の声で寝ていた、アワは起きた。
とても長い間帰って来ずに、しかも傷だらけ。そんな様子だから皆心配していた。
皆からには何処へ行っていたのか?とか、心配したとか言っていた。迷惑をかけて大変申し訳ない思いでいっぱいの三人。
隼人以外の二人は皆に連れられ、家に帰っていった。
「全くもう!心配させて…」
アワ「ごめんなさーーい……。」
アワは母に叱られ、
狩猟仲間「おお、隼人の奴、やるやん。」
キグレ「でしょう!私が育てたからねぇ。」
キグレは仲間と談笑をしていた。
周りを見回すと、心配そうな顔で父が近づいてきた。
父(ソオキ)「一体……何があったんだ…。」
隼人「あーそれはね……
ふと隼人は考えた。今あの事を話したら面倒だろうなと。
隼人「いや…今はいいや、なんでもない。」
隼人は父に向かって即席の笑顔を作る。
父「…そうか、分かった。」
父は納得はしてなさそうだったが、我が息子の思いを尊重した。
父「それじゃあ、帰るぞ。」
隼人「……うん。」
父の跡をついて行くように家へ帰った。
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家に帰ったあと、帰ってきたよと息を吐くように隼人は言った。
隼人「はぁ〜ぁ」
隼人は床に座ってため息をつく。まるで疲れを外に出そうとしているかのように。
父はその姿を察するように、水を差し出した。
隼人「ありがとう、父さん。」
父「少し…疲れたか?」
隼人「今日は一段と大変だったなぁ、」
隼人は今日の思いを語る。
父「……また明日聞こう。そうしたほうがいいのだろう?」
父は隼人の気持ちを汲み取る。
隼人「はははっ、やっぱり気づいていたかぁ。」
父「息子のことは大体分かる。この前だって……
隼人「ああああ!言わんでくれ!」
父「冗談だよ。」
隼人「もぉ〜。」
二人は笑った。二人の間からは幸せな雰囲気が漂う。
その後、父は隼人に質問した。
父「あ、そうだ。お前今日が何の時か知っているか?」
隼人「え〜〜〜〜……分からない。」
分からないとははっきりという隼人。
父「少し待ってろ。」
隼人「?」
彼は父の行動に疑問を持った。なにがあるのか考えたが、まあ後で教えてくれるだろうと思っていた。
父「はい、これ。」
隼人「なにこれ…箱?」
箱は土色に近く、なにも変哲のない。しかし、その変哲のなさが"何がある"と感じられる。
隼人は箱を開けてみた。
すると…、
隼人「え、これって、」
中には動物の骨などが飾られてある、首飾りだった。
ソオキ「15 歳の誕生日おめでとう。これでお前も一人前の猟師だ。」
その首飾りは一人前の猟師となるべく授けられる一つの勲章である。これをつけることができるのは高い経験値と実力をもった猟師だという
隼人「ああああ…そうなんだ…ぁ。僕はもう本当の猟師になったんだね。」
少し…涙が
…嬉しくて。
父「よく頑張ったな、先程取った獲物が集落長に認められたんだ。私はそれを私から渡すために集落長から頼まれたんだ。」
父「こうして、お前のために祝えることに心から嬉しく思うよ。」
父はとびきりの笑顔を隼人に見せながら言った。
隼人「……ぁ…あぁ。これから、頑張ら、なくちゃ、なぁ…」
涙を小雨のように流し、言葉を詰まらせる。そのような状況でも、自分の意思というのが十二分に父へ伝わっていた。
父「……ああ、"これから大変になるな。"」
父は隼人に見えないところで少し、悲しそうな顔をした。
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