第8話
あれから1週間が経った
名前を決めた翌日「アンジュ!」とトイプードルに向かって呼び掛けてる夢を見た
もしかして愛犬の名前でも名前に選んだんだろうか…まぁいいか。愛犬の名前ならと、一生この名前で生きていくことにした
それと今この国ではリオンさん達のお父さんにあたる国王様が倒れて大変な状態だということを聞き、私は部屋で過ごしていた
何もしてなかった訳ではない
ソウゾウ系の魔法が色々使えるということだったので、国王様に鶴を折ってプレゼントをしようと思ったのだ
「折り紙出ろ」と声に出してみたら本当に折り紙が出たので、「王様が早く元気になりますように」と願いを込めて一つ一つ折っていった
1人で千羽はちょっと時間かかりすぎると思ったので切り良く100羽作り上げて針と糸を使って綺麗にまとめる
「出来た!」
ただの折り紙じゃない。どれくらい効果があるかは分からないけど、本当に魔法のある世界でなんだかチートの私が真剣に祈って折った100羽鶴
「どうか国王様の体調が良くなりますように」
最後にもう一度膝をついて手を組んで祈りを捧げた瞬間まとめた糸が消えて100羽の鶴が自ら部屋を飛んで出ていってしまった
えっ!?うそ!なんで!?
何が起こったか分からず私は走って鶴を追いかけた
すると鶴たちは入ったことのない部屋にスルスルと羽ばたいて入っていってしまった
部屋の前には護衛っぽい騎士さんが二人立っていたけど、その人達も止めることが出来ず1人は部屋の中に、もう1人はどこかへ駆け出してしまった
私は自分の折った鶴が気になったので部屋に入ると、鶴たちはベッドに寝てた人の体の中に吸い込まれていってしまった
護衛の人が大慌てで「陛下!!」と呼び掛けてる
という事は、この人がリオンさん達のお父さん!?
部屋に飾って貰おうと思って作った鶴がまさかの動きを見せて私も護衛の人と一緒にパニックになって「リオンさんのお父さん!」と必死に呼びかけた
すると眠ってた王様がゆっくり目を開いて起き上がった
護衛の人が焦ってたからついつい私も声を掛けてしまったけど、寝起きでまだ少しボーッとした雰囲気の初対面のおじさんに何を言ったらいいんだろう
「あの、おはようございます。はじめまして、アンジュと言います」
とりあえず自己紹介をしてみたら「「「父上!」」」と王子の三兄弟が慌てた様子で入室してきた
今まで王様がどれほどの状態だったかを知らなかったので起き上がった事に何とも思っていなかったけど、3人は起き上がってる王様にとても驚いていた
倒れてからはたまにうっすらと目を開けることがあった程度でこんな風にしっかりと目を開けて起き上がるなんてことはなかったそう
三兄弟も王様もとても嬉しそうにしていたので、私は空気を読んで部屋の外で待つことにした
男なんてみんな同じと思ってたけど、どうやらこの世界は違うようです moca @mocamocaruxu
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