好きな人の好きな人って誰?

永嶋良一

第1話

 今日は土曜日。ヨッチンとデートなのだ。ウフフ♡♡♡


 先週の土曜日もヨッチンがおいしいレストランに連れていってくれた。今日もおいしいお店に連れていってくれるって・・


 私はお気に入りのピンクのワンピースでばっちり決めた。これ高かったのよ。いわゆる勝負服。というのも、今日は私の胸に予感があるの。


 ひょっとしたら、プロポーズされたりして。ウフフ💛💛💛


 ヨッチンは私より1才下。横浜の会社に勤めている。顔はまあまあ。身長も高くないけど・・なんか頼りないところが胸にキュンとくるのよね。


 今日の待ち合わせは横浜の赤レンガ倉庫。赤レンガ倉庫は私の大好きなところ。


 待っていると、ヨッチンはすぐにやってきた。それから、ヨッチンは私を赤レンガ倉庫の一角にあるイタリア料理のお店に導いたの。


 私は驚いたわ!


 ここって・・先週の土曜日も来たお店じゃないの! どうして、同じお店に二週続けて? 確かにお料理もおいしくて、とっても素敵なお店だけど。


 私の頭に疑問符クエスチョンマークが点滅したの。

 

 そこはオレンジの照明の中にゆったりとテーブルが配置してある、とっても雰囲気のいいお店。私たちはバルコニー席に座ったわ。向こうには夜の横浜の港が見えている。


 すると、おもむろにヨッチンが言ったの。


 「花音かのんはこの店、初めてだよね。この店はロティサリーチキンが売り物なんだよ。初めてこの店に来た感想を聞かせてよ?」


 私が初めてですって? 先週もこのお店に来て、この席に座って・・ヨッチンは全く同じセリフを私に言ったじゃん!


 私の眼尻がギリギリと吊り上がった。


 こいつめ! 私を誰か他の女の子と間違えてるな! ということは・・誰か好きな人がいるんだ!

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