夢見
彩雲(あやも)
第1話
目が覚める。
今日も最高に最悪な気分だ。
と言っても、起きてから1時間ほどは動けず、ベッドでゴロゴロとする羽目になるのだが。
どうせ予定も無いのだし。
それに安心するような、虚しいような気持ちになったような気がして、すぐにスマホで気を紛らわす。
通知欄を見てみると、珍しくLINEが来ていた。
どこか期待を含む気持ちに見ないふりをしつつ確認してみると、親からのLINEだった。
予想は外れたようだ。まぁそれも当然、今更学校の友達が自分に連絡を寄越す理由が思い当たらなかった。
今日も親は家に帰らないらしい。
最近、高校を中退した。
特別意義を感じられない授業の日々に、ただでさえ傷ついた心では太刀打ちできなくなったからだ。
だからといってその後の夢もなかった。
生きることすらしんどい今、大層な夢など持っても苦しいだけだった。
手に入らないと分かっているものに期待することはとても苦しく、またそれを願い続けられるだけの忍耐力も残っていなかった。
それでも強いて言うなれば、友達や優しい家族が欲しかった。
今でも未練がましくもその気持ちだけは消せず、こうして淡い期待を抱いては項垂れる日々だった。
明日には、存在ごと消えられるだろうか。
気持ちに素直になれないまま、動くことも出来ず、今日も明日を夢みてる。
夢見 彩雲(あやも) @-Akuriru-
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