雷鳴

道谷

はじまり

目の前に差し出されたのは汚いガラス板だった。全体的に黄ばんでおり、真ん中にぼんやりとした白いシミがある。

目を凝らしてみれば、そのシミは文字に見えなくもなかった。



「これが、千佐子が念写したと言われている乾板です。真ん中に、天という字が見えますでしょう。乾板っていうのは今で言うフイルムですね。

千佐子はこのガラス板に、念写で文字を浮かび上がらせたんです。」





黒髪と涼やかな目元が特徴的な女性は、早口でそう補足した。A4サイズの乾板は黒く煤けており、保存状態も悪いのか欠けや擦り傷も目立った。

「超能力を裏付ける証拠がある」と言われ期待していたが、あまりのお粗末さに面食らった。こんなのはこじつけだ。


文字と言われれば文字にも見えるが、牛乳の染みと言われた方がしっくりくる。

そのレベルだ。



「…これが念写、ですか。」

 


俄には信じ難いその言葉に、遠藤と成田は顔を見合わせて苦笑いを浮かべた。


そもそも二人は、超能力なんて全く信じていないのだ。

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