康介と千尋のふつうのはなし【本編完結済】
慶野るちる
本編
その1 はなひらく
「ちょっと、
「何って、エッチなこと?」
「……そんなこと許可した覚えないんだけど」
目が覚めたら男が跨ってるとか、なんなの。
そもそも僕たちはこれから学校に行くんじゃないのか。
朝の六時半。七時の朝食にはまだ時間があるけれど。
「まあ寝てたからお前の許可は取れなかったな」
ってかさ、と康介は僕をつまんなそうな顔で見下ろす。
「こんだけちゅっちゅされてすやすや寝てるってどんだけ寝穢いんだよ、
「睡眠は明日への活力だ」
睡眠大事。何とでも言え。
「まあいいけどさ。それより見ろよ、俺が付けたキスマーク。すげぇ芸術的じゃね?」
僕のパジャマの上着はボタンをすべて外されて全開で(もちろん被っていたはずの布団も脇へ寄せられていた)。
康介の言葉を信じるなら僕の上半身にキスマークがついているのだろう。だけど自分の身体は鏡でしか見ることができないから芸術的って言われてもね……。
「所狭しと花開いて、満開の花畑を眺めてるようだぞ。可愛い」
一人うっとりするのは構わないけど、花畑ってどんだけ付けまくったんだ。
誰を想定してるのか知らないけど。
不感症だからって僕で練習するのはいい加減やめてほしい。
「よし、今日のテスト、満点取れそうだな」
康介は楽しげにベッドを降りた。
さて、僕も着替えよう。
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