第15話 伝説は硬直する
「ナギ先生、少し、気になる気配が……」
ハルキが、小さく呟く。
「気になる気配……?」
ナギが、ハルキに近づき、耳を傾ける。
「はい、微かですが、心の闇の残滓のようなものが……」
ハルキは、眉をひそめる。
その時、スタジオの扉がゆっくりと開き、黒いローブを纏った男が姿を現した……かと思われた。しかし、そこにいたのは、以前のように威圧的な雰囲気ではなく、どこか憔悴した様子のボスだった。
「……」
ボスは、何も言わずにスタジオの隅に座り込み、目を閉じた。
「ボス……?一体、何をしに……?」
ナギは、警戒しながらボスに話しかける。
「……」
ボスは、何も答えない。ただ、静かに目を閉じ、瞑想しているようだった。
「……」
ナギとハルキは、しばらくの間、ボスの様子を観察していた。しかし、ボスは全く動かず、ただ瞑想を続けているだけだった。
「……」
ナギは、ボスに近づき、声をかけた。
「ボス、一体何を考えているの?」
「……」
ボスは、ゆっくりと目を開け、ナギを見つめた。
「……私は、ヨガの力を思い知った。そして、お前たちの強さもな」
ボスは、静かに語り始めた。
「……私は、心の闇を操ることで、世界を支配しようとした。しかし、それは、愚かな考えだった」
「……」
ナギは、ボスの言葉に耳を傾ける。
「……私は、ヨガの力を、もっと深く理解する必要がある。そして、お前たちを倒すために、最強のヨガのポーズ、ワニのポーズを習得する……」
ボスは、そう言い残し、再び目を閉じた。
「……」
ナギとハルキは、顔を見合わせ、首を傾げた。
それから数ヶ月後、ボスの姿は、街から完全に消え去った。
しかし、ナギたちは、時折、ボスの気配を感じることがあった。それは、街の地下深くに広がる、ボスの巣窟だった。
ある日、ナギとハルキは、ボスの巣窟へと向かった。そこには、以前の威圧的な雰囲気はなく、ただ、静寂が広がっていた。
そして、巣窟の中央には、ヨガマットの上に座り、ヨガのポーズをとろうとしているボスの姿があった。
「……ワニのポーズ……。ヨガの極致……。この力を手に入れれば、私は……!」
ボスは、必死に身体を動かそうとするが、全く動かない。
「うぐぐ……!体が……!体が硬すぎて、ポーズが組めない……!」
ボスは、必死に身体を動かそうとするが、全く動かない。
ボスはこちらに気付き、焦っている。
「くっ……!こんな時に……!」
ボスは、必死に身体を動かそうとするが、全く動かない。
「……」
ナギとハルキは、ボスの姿を見て、静かに笑い出した。
「ナギ先生、ボス、本当にワニのポーズを練習しているんですね」
ハルキが、笑いを堪えながら呟く。
「ええ、まさかね。でも、あの様子だと、ワニのポーズを習得するのは、まだまだ時間がかかりそうね」
ナギも、笑いを堪えながら答える。
「フフフ……。でも、いつか、ボスがワニのポーズを習得したら、また戦うことになるかもしれませんね」
ハルキが、冗談めかして言う。
「そうね。でも、その時は、私たちも、もっと強くなっているはずよ」
ナギは、力強く答える。
二人は、笑いながら、ボスの巣窟を後にした。
そして、街には、再び穏やかな日常が戻ってきた。
しかし、ナギたちは、心の片隅で、ボスのことを気にしていた。
いつか、ボスがワニのポーズを習得し、再び現れるかもしれない。
その時、ナギたちは、再び、心の闇と戦うことになるだろう。
しかし、ナギたちは、もう、何も恐れてはいなかった。
なぜなら、彼らは、ヨガの力を信じているからだ。
そして、心の闇は、永遠に消えることはないかもしれない。
しかし、光もまた、永遠に消えることはない。
だから、ナギたちは、ヨガと共に、心の闇と戦い続ける。
そして、心の闇と光の戦いは、これからも続いていく。
ヨガバトル:呼吸を制する者が世界を制す @shushu8
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