魔王達による叛逆の物語

オク

第1話 どうしても

生物は、いつか死が訪れる。

刺殺、焼死、溺死、窒息死、自然死、他にも多くの死が存在する。

それは当たり前。

生命として何ら不思議はないだろう。

だが、俺は―――黒崎琢磨くろざきたくまはそれを認められない。

たかが大学一年生が何を言っているんだと思うだろう。

それでも俺は、死ぬのが怖い。

あんなに優しい母の温もりが消えるのが、厳しくも俺のことを真に考えてくれた父がいなくなるのは、友人のように遊んでくれた姉を失うのが、苦しいとき支えてくれた祖母が目の前から去っていくのが何よりも怖かった。

…祖父が亡くなってからその思いはより強くなった。

どうにかして、死を免れることができないのか。

そんな夢物語を、小学生の頃からずっと考えている。

この世に永遠の命なんてものは存在しない。

一つの例外も無く、誰もが終焉を迎える。

頭では理解している、分かっている。

だけど。

どうしても、捨てきれない。

そんな無駄なことを考えて、日々を浪費する生活を俺は送っている。

何を成し遂げることなく、有限の時を過ごす。

そんなある日、転機が訪れた。

たった一つのメールが俺の人生を大きく変えることになったのだ。

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