第7話

ビュッフェ会場はホテルの23階にあって、エレベーターを降りるとすぐ目の前が受付だった。

芽衣と瑛二くんが予約を確認された後、スタッフに席へ案内される。



大学時代、同じ学部の子に時々連れて行かれた合コンを思い出す。

その時、「香椎さんは、人数合わせで呼んだだけなんだから、絶対に一番端に座ってね」とよく言われていた。

最初に座る席って重要らしい。これでその後の2時間の勝敗が決まるようなものだから、と念押しされたのを覚えている。


だから、その時と同じように、一番端っこの席に座るつもりでいた。

けれども、スタッフが「こちらになります」と、席を案内してくれた時に立っていた場所のせいで、6人席の真ん中に座る羽目になってしまった。

左に青木くん、右は大崎くんとなり、青木くんの正面に真花ちゃん、その隣に芽衣、瑛二くん、と言う並びになった。



芽衣の仕切りでまずは各自料理をとってきた。


みんなが席についたところで、青木くんが言った。



「ところで今日のこれって、どういう集まり?」



芽衣がその質問にスラスラと答える。



「最初はね、わたしと美雨ちゃんが大学で行きたいね、って予定立ててたの。それに瑛二くんも行きたいって言って。その話をバイト先でしたら、真花も興味を持って。青木くんの正面に座ってる子が、真花ね」


「友坂真花です」


「それで、男が俺ひとりになるから青木を誘ったんだよ」



すごい……完璧な脚本。

それでわたしは大学生役なんだと納得。



「本当ならおれの先輩も来る予定だったんだよな。ドタキャンになってごめん」


「仕事なんだから仕方ないだろ。青木の先輩の代わりが、最後に来た大崎。同じフットサルのサークルに入ってて、同じ年だよ」


「大崎です。初めまして」



わたしたちのテーブルの横を通る女の子がちらちらと見ているのが目に入った。


そうだよね。

瑛二くんも青木くんも、大崎くんもタイプ別のイケメン勢揃いだから。



「えっと……初めて会うよね?」



青木くんに話しかけられて、愛想笑いで返す。



「名前、聞いていい? 最初に会った時、聞き取れなかったから」



失敗。



「芽衣の……と、友達の大野美雨です」


「美雨ちゃんって、ひとりだけ違うよね」



その言葉にぎくりとする。

年……やっぱり無理があるよね……大学生なんて……

25が21とか言っちゃって、芽衣は「大丈夫」って言ったけど、バレないわけがない。


愛想笑いをがんばってみる。



「芽衣ちゃんも真花ちゃんも可愛い系だけど、美雨ちゃんだけ綺麗系」


「あ……ありがとうございます」



この後の会話をどうもっていったらいいのか困っていたら、芽衣が口を開いた。



「紹介はその辺で。小籠包、冷めないうちに食べちゃっていい? すっごく美味しそうで待ちきれない」



それでみんなが料理に注意を向けた。

さすが芽衣。

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