能力主義の世界の中で僕はおやつを作る
OyatsuTime,
第1話、一方通行
「希愛〜!」
僕は気配のある方へと振り向く
「なんだ、香か」
こんな料理しか出来ない奴にも声をかけてくれる優しいやつである
今日もこうして、カラオケの誘いをかけてくれている
「ごめん、今日は行けない、お菓子作りたいんだ」
「相変わらず、女子力高いなw」
「了解、また時間あるとき来いよー」
一言余計だが、本当に良い奴である
おっと、自己紹介が遅れた、
僕は星乃希愛、料理好きの高校1年生である
「早く行かなくちゃ」
僕はお菓子作りの買い出しへと向かう
マドレーヌを作る予定だ
もちろん香にもあげる予定だけど
学校を出てそのまま近くのスーパーへと向かう、
僕の学校は坂の近くにあるため自転車で下っていくのがとても気持ちいい
風が横を通り過ぎていく中、僕の目には1つの屋根が目に留まる
「ん?」
不思議なお店をがある、前までは無かったはずだ
情報通の香でさえも何も言ってなかったし、なんの店かは分からない、
ただ、何らかの店であるのは確かだ
入ってみたくなってしまう、僕は買い物が大好きだ
ガチャ、
重いドアを開け、僕は慎重に歩を進める
「すごい……」
まだ知らない調味料や食材が沢山視界に入る
まるで現実じゃないみたいに、
「あっ、財布」
買い物に来たのに今まで気付かなかったのが不思議でならない、
一旦家に戻ってからもう一度買い物に来るとしよう
またこの店にもそのうち来ればいい
「ガチャ……」
僕は再び重いドアを開け外に出る、
ここは森の中、キノコの妖精が飛んでいるのが目に入る
「ん?」
僕は首を傾げた、
明らかにさっきとは違う、さっき見た景色じゃない
僕はそんなことを思いながら歩を進める
"じょそうざい"注意……
そんな立て札がある
僕はそこに侵入した、
草が茂っておらず周りが見渡しやすい
ただ、除草剤が撒かれてるということは、
この周囲に人が居ない訳ではないのだと思う
僕は行く方向を定め、再び森の中へと歩を進める
歩いて、歩いて、歩いても森が広がっている
日はもう山へと隠れそうである
「疲れた…」
僕は腰を下ろし木の幹に寄りかかる、
「少しくらい、良いよね、」
自然の温もりを感じながら僕は深い夢の中へと誘われるのだった、
……シュッ、
目覚めは突然訪れた、
太陽と紫の光が僕を明るく照らしている
……紫の、光、?
「……ん?」
咄嗟に危険を感じて逃げようとしたが間に合わなかった
……サッ!シュ!
目の前で何があったかは分からない、紫の光は消え、1人の少女が目の前に立っている
「……助かった、?」
僕は何も分からず、その場でただ座り尽くしている
「女の子がこんな所で寝てたら危ないに決まっているでしょう?」
……女の子、?
……危ない、?
「えっ、?」
「早く家に帰りなさい、あなた何も知らないの?この世界は能力主義だから弱い者が外にいると危ない人やモンスターに襲われても対処できないわよ?」
「ええ!?」
そんなの知らない、
僕の居る世界はそんな危険ではないはずだ
……となると、想定はしていたがまさか、
「あなたもしかして、ここの人間じゃないの、?」
……ってことである、
ま、マジか……、
僕は藁にもすがる思いで少女に全てを打ち明けるのであった
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