第3話 である
ママンは恐らく、まだ1歳にも満たない私がママンの言葉の意味を理解している事に気付いているのだろう。
この世界の『力』について、とても詳しく丁寧に教えてくれた。
曰く、この世界には異なる7つの力が存在する。
『精』、『能』、『魔』、『神』、『法』、『獄』、『異』。
語尾に力を付けて呼ばれるこの7つの力には、それぞれ特徴がある。
中でも、今話す必要があるのはこの力。
ー精力。
地球、それも日本出身の諸君は須く卑猥なチカラを想像したのではないだろうか。
まあ、それもあながち間違いではない。
精力とは、男性機能及びそれの根源となる、精巣を持つ生命体が有する力のことだ。
その力の本質はー『やる気』の増幅とそれに比例する『力』の増幅である。
誰しもが、力を使う時、気力を失った時、疲れ果てた時、すべてを出し尽くした時、そして何かを始める時、そういった少しの頑張りが必要な場面が必ず存在する。
精力とは、そんなほんの小さな最初、もしくは最後の一歩を後押ししてくれる力なのだ。
この説明で私のチカラの一部に得心がいった。つまり、私が魔力だと考えていたこの股間が生み出すチカラは精力であり、何かをやればやるほど力が漲っていたのは私の行動をこの精力が後押ししてくれていたのであろう。
また、精力には他の力を増幅させる機能もあるらしい。
女神であるママンが毎日用意してくれる池の水が、ママンに触れることで神力を宿し、それを摂取する事で私にも神力が宿ったことは容易に想像できる。
つまり、私に宿った神力を、規格外の強さを誇る精力が増幅させた結果、残像や衝撃波を生み出しているのであろう。
そう考えれば全ての状況に説明はつくのだが、では何故ママンが首を傾げているのかと言えば、これまた簡単な話だ。
先ほども説明した通り、精力とは精巣機能を持つ生命体に宿る力であるのだが
ー今世の私は女である。
大切な事なのでもう一度繰り返そう。
ー私は、女である。
悪人、愛を知る 一年中数の子食べたい @noahoshimiya
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