第2話 ママンの困惑
さて、無意味に重々しいプロローグを語って見せたが、今現在私を救った神の如き女、通称ママンは、地球の絶景よりも心が洗われるその美貌に多分な微笑みと多少の困惑を携えていた。
「うう〜ん。どうしてかしら?こんなこともあるものなのねえ。」
私もそう思う。
我が愛しのママンが珍しく狼狽えているのには当然訳というものが存在する。
その理由を説明する為には、1年ほど時を遡る必要がある。
* * * * * * *
地獄を生き抜き、女神のママンに救われ泉のような場所に誘われた私は、簡素な掘立て小屋に用意された簡素な木のベッドの上に寝かされていた。
当然布のようなものが敷かれているわけでもなく、頭も背中も尻も分け隔てなく硬い木に包まれ全身が軽い痛みに包まれる。
ママンがミルク代わりにとどこか神々しさ漂う小池の水を用意している間、その痛みから逃れるべく私は泣き叫んでいる時に見つけた玩具で遊ぶべく、自身の股間へと意識を向けた。
ーそう、股間である。
原因は不明だが、私は今股間に物凄い力が集っていることを自覚している。
ママンが何度も摩訶不思議な力を使っている事は確認済みである。名称は異なる可能性はあるが、この世界には魔法が存在する。
恐らく、この私の股間をまさぐる超常の力こそが魔力であろう。
そう思い至った私は、その日から魔力の鍛錬を四六時中行うようになった。
前世の知識では、魔力は使えば疲れて眠るものであったがこの世界の力はどうもその真逆を行くらしい。
使えば使うほど、やる気が、力が全身に漲って行くのが感じられる。1年も経った頃には、その力は周囲への影響力を持つほどになっていった。
おっぱい代わりの泉の水を6ℓ平らげ、手足をばたつかせれば残像を生み出し、泣き声をあげれば近くに居た虫が破裂する。
幸いママンは私の鳴き声災害を喰らってもピンピンしているが、流石にママンも不思議に思ったらしく私の身体に触れ触診を始めた。
そして数秒で顔を上げると
「うう〜ん。どうしてかしら?こんなこともあるものなのねえ。」
ー冒頭に戻るのである。
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