第3話死にたい僕と生きたい君
死にたいと思い始めたのはいつからだっただろう。
生きたい…そう思ってた時もあったけど、そう言う時に限って人は、
「死ね。」
「なんで生きてんの?」
「生きてる価値ないよ(笑)」
何も考えていないないような、バカみたいな言葉だけど…。
それでも、1人、2人、3人…10人20人とだんだん増えていく言葉の暴力の数と、
見て見ぬふりをする人たちを見て、なんだかもう本当の自分の価値が分からなくなっていった。
親は、
「お前に原因がある!」とか
「わがまま言わないの!」とか
話も聞いてくれない。
本当になんのために、誰のために生きてるんだろう。
学校に行けば、言葉の暴力が…最近は、それだけじゃない。
コンパスで刺されたり、髪の毛を切ってきたり。
僕のクラスに、学校に味方なんていない。
でも学校に行かなければ、親に怒られる。
この世界に味方なんていないと思っていた。
死のうと…そう思って近くの高層ビルの屋上に登った。
靴を脱いで、飛び降りようとした。
その時、
『ドン!』
後ろから何かがぶつかった…?
「死ぬ前に私と少し話をしない?」
知らない人だった。
「いま死のうとしてたでしょ?ここ多いんだよね。飛び降り自殺する人。
だから私、ここにいるの。どう?話してみない?」
そう言った女の子は、僕よりも背が低くて、細くて白くて…いまにも死にそうな。
「話すって何を!?なんで止めるの!やっとラクに慣れると思ったのに!」
いつもだったら言わないようなこと…。
でも、初めて本音を言えた気がした。
「まぁ、そんな怒らないで!
どうせ死のうとしてたんだったら、すこしくらい話たっていいじゃない?」
「うっさいんだよ‼︎お前に何がわかるの!?
こんな所で死のうとしてる人たちを待ってる!?
迷惑だし、邪魔でしかないんだよ!」
言い終わってからハッとした。
心の奥底で思っていたこと…。
でも言っちゃいけないこと。
でも今から死ぬんだ。
関係ない。
黙った女の子の隣を歩いて、飛び降りようとした時。
「言いたいことはそれだけ?じゃあ私の話をしていい?
なんでこんなとこでこんなとこでこんなことをしてるのか。
ちょっとだけ!聞いてかない?
その後死にたければ、死ねばいいじゃない!」
あんなこと言ったのに、明るく振る舞う女の子に、何か特別なものを感じてしまった。
「ごめん。あんなこと言って。
話、聞かして欲しい。」
「うん!でもその前に涙拭いたら?
顔っ、ぐっちゃぐちゃだよ?」
いつの間にか涙が溢れていたみたいだ。
「ありがとう。」
「ううん。どういたしまして。じゃあ私の話をするね。」
そう言って女の子は語り始めた。
親に虐待されて、幼稚園でいじめられて、誰にも言えなくて…。
そんな時、1人の先生が気がついてくれて、親とも離れられて。
でも、病気が見つかって。
お金を作るために、助けてくれた先生は、頑張って働いたけどお金が足らなくて、
余命宣告されて、もう長くないって言われて。
先生は心に傷を負って、今はもう長くないから好きにしなさいって。
「それで、私はここで死にたいっていう人たちのお話を聞いているの。」
そう言って少し微笑んだ。
「よくネットとかで、君が死にたい今日は、誰かが生きたかった明日なんだよ。
見たいな話はうざいとか、響かないって言うけど、私にそれ言われて響かない?」
「うーん、今の僕には、響くよ。でも死にたいって思ってる時って、
それだけ思いも強いから。
さっきまでの僕だったら、『うっさい!』って言ってたと思う。」
「そっか。ねぇ次はあなたの話を聞かしてよ。
言ったでしょ?死にたい人の話を聞いてるって。」
「僕の話をしていいの?」
「うん!むしろ聞かせてほしい。」
そう言われた僕は、僕のことを話した。
学校でのこと、家でのこと。
全部話した。
女の子は真剣に聞いてくれた。
「そっか…。ねぇ、自分のこと話してみて、まだ死にたいと思う?」
僕の話を聞き終えた女の子が僕に聞く。
「うーんまだちょっとだけ。」
「そっか。そういえば、ここにきた人たちにしてる話があるんだけど聞く?」
「なに?聞きたい!」
女の子と話しているうちに、少しずつ女の子に心惹かれていたのがわかる。
「あのね、生きるって漢字あるでしょ。あれってね読み方が一番多いらしいの。
逆に死っていう漢字はひとつしかないでしょ。
人はいつか死ぬ。死っていうのはひとつしかないの。
でも生きていればね何にでもなれるんだよ。
だから最後まで諦めないでほしい。」
「う…ん!」
言われるまで気づかなかった。
昔の人ってすごいな、ただそう思った。
「そうそう、あと今好きなものとかある?
生きる理由になりそうなものとか。」
「えっ…。そんなこと?…でも確かにないかも。」
最近死にたい、とかそんなことばっかり考えてたから。
何が好きだったとか、したいこととか、思い付かない。
「そっか。もしよかったら、私の代わりにやらない?
ただ死にたい人と話をして、話を聞くだけでいい。
どうかな?」
考えもしなかった。
「うーん。考えてみる。もう少し生きて、親とも話して、
でやることが見つからなかったらやる。」
「よかった!多分私ね、今週中に死んじゃう気がするの。
多分、話を聞くのも君で最後だと思う。
最後が君でよかった。
これからもしんどいこととか、大変なこともあると思うけど、頑張って!
そして最後に、また本当に辛いこととか、死にたいと思うことがあったら、
私のこと思い出して!」
「うん!ありがとう‼︎あっ、そう言えば名前聞いていい?」
今更だけど…。
「あっ、そう言えば今までお互いに名前言ったことなかったな。」
「えっそうなの!?」
「聞かれたことなかった。まぁ最後だし。」
そう言って僕に近づいてきた。
「_____」
耳元で小さく呟いた。
出入り口の方に走り出した。
「じゃあ、さよなら!お父さんが心配しているから!」
そうやって、僕の一生の出会いは終わった。
女の子が帰った後、柵の方に行った。
さっきまで、飛び降りようと脱いだままの靴があった。
すっかり暗くなっていた、そこからの景色は街の明かりは綺麗に見えた。
うちに帰ったら、母と父が待っていた。
「こんな時間まで何をしてたんだ!!」
「学校からも電話があったんだからね!」
2人ともすごく怒っていた。
「ごめん…なさい。」
小さい声しか出なかった。
『ドン!』前の方から音がした。
「本当に心配したんだから…!」
2人が抱きついてきた音だった。
気づいたら…涙が溢れていた。
その後、ちゃんと話を聞いてくれた。
2人とも謝ってくれて、学校とも話して。
あの日、あそこに行ってよかった。
死ぬことはできなかったけど…。
それ以上のことがあった。
そして、いつかあのこと同じように、死のうとしている人を止められるますように。
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