幼馴染の女子高生は、私の“負け犬”顔がお気に入りのようです。

とけいみがき

プロローグ 豹変

歪んだ口元に沿う、白魚のような指。


ゆらゆらと揺れるツインテール。


恍惚とした瞳。


「お姉、大好き……♡」


その黒い目に見据えられて、体がびくんと震える。


「その負け犬みたいな、なっさけない顔……♡」


「え?」


「はぁ……怖がってる顔も可愛いなぁ……♡」


芯のある声で言い放ち、その少女は肩を震わせて笑う。


困惑と恐怖が交差する。


ただ、私は怯えることしかできない。


すくりと、深雪がその場を立ち上がった。


「本当は、最初から限界だったの……♡」


とん、とん、とフローリングを踏み締める音。


ふらふらと覚束ない足取りが近づいてくる。


(い、一体何が起きているの?)


戸惑い、わなわなと後ずさる。


その刹那に、私は再会の瞬間を回想した。


幼馴染の少女と再会した、その瞬間を——。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る