第283話

" 私に最高の思い出を頂戴? "





犬みたいに尻尾を振って喜んで飛びついたその言葉。


深い意味はあったんだろうけど、希望に満ちた言葉に聞こえたのは気のせいなんかじゃない。








忘れらんねえくらい、最高の思い出を君に。


そう思ったのは男の意地と、この関係への希望。








2人して浮かれたナリして。息を合わせて、同じ速度で歩いて。

限られた時間の中で、子供みたいにハシャいだ夢の国。







最高の瞬間なんて選べないほどに、共有した全ての時間が最高の物だった。





無邪気に笑う顔も、凛とした横顔も。

透き通るような肌も、存在感が増すゴールドのネックレスも。


手を伸ばせば、全てが手の届く場所にあったんだ。







この瞳は君を映す為に。


この手は存在を確認する為に。


この唇は愛を伝える為に。






パーツの寄せ集めにすぎない俺の身体。


渚がいなきゃ意味を成さない。






けれど渚の本音は分かってる。


依存し合うのは俺達のガラに合わない。


それなら渚が求めた最高の思い出をあげようと、その一心だった。

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