第257話

最後に見た譲の顔が記憶にこびりついて離れない。

覚悟はしていたけれど罪悪感がどこまでも付き纏っていた。



容疑者扱いされていたら少しは気が紛れていたのかもしれない。



車の中でも、ここに来てからも、刑事達は私に手荒な真似をすることはなかった。

まるで自分がただの訪問客のように錯覚するほどに。




想像とのギャップが心地悪さを際立たせる。



早朝から張り込むくらいなのに薬物検査の一つもさせられていない。


お決まりの手順とは縁の無い空間は空気が異様だ。





それらが意味することを理解するのにそう時間はかからなかったけれど、自分の望みではないが故に認めるには少し時間が必要みたいだ。




自分を取り巻く環境。

間一髪で差し出されたであろう救いの手。



感謝―――、すべきなのかもしれない。



有り難いと素直に思わないと。



でもそれはまるで自分という存在を消されたような感覚を私に与える。




感謝には程遠くやりきれない想いが溢れ出す。



罪から逃れた代償に向けられる白い目の冷たさだけがやけにリアルだった。

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