第64話
「点字ブロックは飾りじゃない。これは目の不自由な人の為にあるの。あなた達が並んで歩く為のスペースじゃない」
あからさまに非難する私を、そのオヤジは何を反論することもなくポカンと口を開けて、ただ呆然と見ていた。
その姿を見て急に我に返ったんだ。
あぁ。この人に悪気はないんだ、って。
街を行き交う人達もただ傍観していた。
あの子は何をあんなに怒ってるの?と不思議そうな表情を浮かべ。
それでも決して足は止めず、ゆっくりと通過して行く。
これが当たり前なんだ。
この人達が普通なんだ。
そういう街なんだ、ここは。
知ってたはずなのにね。
自分も同じこっち側の人間だったはずなのにね。
今更何をこんなに腹を立てているんだろう。
笑っちゃう。
情けなく緩んだ口元からもう言葉は何も出てこない。
私が引き留めたオヤジは何事も無かったかのように足早に姿を消し、私は壊れたようにその場に立ち尽くしていた。
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